質問要旨
1. 城山土砂災害について
2. 持続可能な財政運営について
3. 企業誘致について
4. ふるさと納税について
5. 松山駅周辺整備とアリーナについて
6. 女性活躍について
1. 城山土砂災害について
・ 1-1.
①災害発災後、第三者委員会による検証を行わなかった理由を問う。
②管理瑕疵責任なしの判断において、特に予見可能性と管理体制の検証に関与した第三者とその検証内容を問う。
③専門家へのヒアリング記録等を情報公開していない理由並びに説明責任の姿勢を問う。
・ 1-2.
①地盤調査を行わなかったことの妥当性の根拠について、道路土工指針に照らしていない理由を問う。
②標準設計を用いているにも関わらず、地盤調査を行わなかった妥当性の根拠を問う。
・ 1-3.
復旧工事のための土地使用に関する契約の状況並びに正式な賃貸借契約を締結すべき必要性について問う。
・ 1-4.
住民説明会の開催と住民に真に寄り添った今後の対応方針について問う。
1-1.
①災害発災後、第三者委員会による検証を行わなかった理由を問う。
②管理瑕疵責任なしの判断において、特に予見可能性と管理体制の検証に関与した第三者とその検証内容を問う。
③専門家へのヒアリング記録等を情報公開していない理由並びに説明責任の姿勢を問う。
[質問全文]
本市で発生した城山土砂災害から、1年2か月が経過しました。
命を落とされた3名の市民の皆さまに、改めて心より哀悼の意を表します。
私はこの災害を風化させることなく、失われた命の重みに正面から向き合い、行政判断のあるべき姿を問い続けることが、今、松山市政にも、私たち市議会議員にも求められている姿勢だと考え、引き続き質問させていただきます。
まず改めて、私が一貫して問題視しているのは、 松山市に管理瑕疵責任があった、という点を決めつけて追求しているのではなく、松山市が「管理瑕疵なし、よって責任なし」と判断したプロセスが、極めて不十分であり、不透明であるという点です。
松山市が管理する営造物が原因で死者が出ている重大な事故である以上、どう考えても、その責任の有無は極めて慎重かつ開かれた検証を経て判断されるべきです。
本来、本市は災害発生後、市から独立した第三者委員会を設置し、 その報告をオープンにして、事実を検証すべきでした。
そのプロセスを経た上で、初めて市としての判断を下すべきだったと、私は考えています。
しかし、松山市はいまだに第三者による検証体制を設けておらず、独自の専門家へのヒアリングを経て、責任の有無を判断しており、さらにそのヒアリング内容が公開されていないことに、看過できない疑念を抱いており、本日もその立場から、質問させていただきます。
どのようなプロセスを経て、市が管理瑕疵の有無を判断したと主張しているか 、改めて整理します。
その根拠とされた材料は、以下の4点です。
1. 県の技術検討委員会による調査報告
2. 市による土木工学の専門家(大学教授)へのヒアリング
3. 市から依頼した民間コンサルタント会社による、緊急車両用道路設計の妥当性に関する検証資料
4. 6月議会答弁で言及された、市による弁護士へのヒアリング
これら4点をもって、市は「管理瑕疵なし」という立場を取っています。
しかし、これらのヒアリング内容は、関わる第三者の数も少なく、しかも市が直接ヒアリングしている点、独立性に欠け、市の責任の有無を判断するプロセスとしては、あまりにも限定的で、内容に乏しいと言わざるを得ません。
そもそも、県の技術検討委員会は「市の責任の有無」を調査対象に含んでおらず、その点は県自身も明言しています。
したがって、この資料は一定の参考にはなり得るものの、市の管理責任を否定する根拠として用いるのは、極めて無理のある構図だと言えます。
そして、管理瑕疵判断の要ともいえる愛媛大学教授へのヒアリング記録は、わずかA4・6ページの資料に過ぎず、対応した専門家も1名のみ。
ヒアリング期間は1か月足らずでした。
対照的に、発災メカニズムの調査にあたった県の技術検討委員会では、24種類・582ページに及ぶ資料が作成され、半年以上を費やしています。
管理瑕疵責任という、発災のメカニズム以上に複雑かつ多角的、市からの独立性と慎重さが求められる検証において、しかしこの規模と内容のプロセスで判断に至ったことは、あまりにも、拙速粗略に過ぎると感じます。
さらに、今回の判断において、本来国家賠償法上、極めて重要とされる視点が第三者によって客観的に検証された痕跡は一切見えていないことも、 重要な問題です。
「予見可能性はあったのか」、この災害は予想できたのか?という点、
そして「城山の管理体制に問題はなかったのか」といった観点です。これらの検証には、過去の城山で起こったことを多角的に検証したり、市の管理体制を紐解いたり、かなり複雑で工程の多い検証が必要と考えられますが、検証したというプロセスは、見えないままです。
さらに重大なのは、市が判断根拠としたヒアリングや資料が、市民にも議会にもほとんど公開されていないという点です。
コンサルによ る設計の再検証資料は、住民説明会で一部示されたのみで、現在も公には未公開のままです。
市の大学教授へのヒアリング記録も、情報公開請求を経なければ入手できず、市の弁護士への相談内容に至っては、内容自体が一切明らかにされていません。
こうした点を踏まえると、判断プロセスの独立性、根拠の妥当性、そして情報公開・説明責任の在り方について、本市には 重大な課題があると考えます。
そこで、以下3点について伺います。
1点目、 災害発災後、本市が第三者委員会を設置、第三者的かつ独立した検証体制を設けなかった理由をお聞かせください。
2点目、「管理瑕疵なし」の判断において、特に「予見可能性」および「管理体制の妥当性」について、どのような検証を行い、誰がそれに関与したのか。関与した第三者と、検証の具体的な中身をお示しください。
3点目、 これら一連の判断材料、専門家へのヒアリング記録や、民間コンサル提出資料、弁護士へのヒアリング内容が、現在も情報公開されていない理由は何か。現在の姿勢について、市は説明責任を果たしていると考えているのか、見解をお聞かせください。
[理事者答弁] 開発建築部長
これまでも御答弁を申し上げていますが、
1点目については、
専門家にご意見を伺ったところ、発生メカニズムについては技術検討委員会が調査や検討を適切に行っており、これ以上の追加の調査や検討は難しいとのご意見をいただきました。
また、道路の設計や施工、城山の管理に関しては、その分野の専門家にご意見を伺い、市として妥当性を確認するものとしたため、改めて、第三者委員会を設置し検証する必要性がないと判断しました。
2点目についてですが、
技術検討委員会の報告書を参考に、今回の災害を予見したり回避することは不可能だったこと及び城山の管理体制は適正で、管理に瑕疵があったとは言えないと本市が判断したことについて、法律の専門家の顧問弁護士と協議しました。
3点目についてですが、一連の資料の中には、専門家との打ち合わせの記録や、民間コンサルが作成した資料などがありますが、専門的・技術的な図面や計算式など、検討過程の部分が多く、資料の公開だけでは誤解を招くおそれがあるため、ホームページ等に掲載はしていませんが、最終的な検討結果は住民説明会で参加者全員に配布するとともに、誤解がないように丁寧に説明しました。
今後もこれらの資料については個別に丁寧に説明しながらお渡しする対応を継続します。
以上です。
1-2.
①地盤調査を行わなかったことの妥当性の根拠について、道路土工指針に照らしていない理由を問う。
②標準設計を用いているにも関わらず、地盤調査を行わなかった妥当性の根拠を問う。
[質問全文]
次に、地盤調査を行わなかったことの妥当性について伺います。
今回の土砂災害では、市が設置した緊急車両用道路の擁壁が、崩落の引き金になったのではないかという疑念の声が聴かれております。
技術検討委員会も「擁壁が斜面変形に影響を与えた可能性がある」と発表しており、擁壁が斜面に負荷を与えた事実は否定できません。
この工事でとりわけ問題視されるのが、過去複数議員も質問で取り上げている、この工事設計施工において地盤調査を行っていなかった点です。
管理瑕疵判断の際、この工事の設計施行、地盤調査を行わなかった妥当性に関しては、特に慎重に検証、市民に説明すべきと考えます。
私自身、今回、県内外の複数の地盤調査業者や土木技術者に確認、事実突合を行いました。
結果「今回のような工事の場合、最低でもボーリング調査を1〜2本行うのが常識。市が実施したとされる簡易貫入試験は、あくまで補助的に行うもの、地盤調査の代替ではない」
との、一致したご返答を頂戴しましたので、市の判断とに差異に疑義を感じております。
市はこれまで、地盤調査を行わなかったことに問題はないという立場を貫いています。
根拠は、「擁壁は高さ2メートル以下であり、建築基準法の確認申請の対象外になるから、地盤調査は不要だった」と、市は主張しています。
しかし、ここに見逃せない疑問点があります。
当該擁壁は、山に設置される土木構造物であり、重量物として地盤に与える影響が極めて大きいことは明らかです。
であるならば、建築の技術基準のみではなく、土木の技術基準において、地盤調査の必要性をどう検証したのか問われるという点です。
ここで本日指摘したいのが、今回のような擁壁工事で地盤調査の必要性を検証する際に、当然参照すべき技術指針があるにもかかわらず、市がそれを持ち出して検証していないことです。
擁壁の実務で広く使われており、擁壁設計の「教科書」とも言われる国土交通省の『道路土工擁壁工指針』です。
この指針は、擁壁設計には、地盤調査によって得られる設計定数が不可欠であることが明記されており、つまり、擁壁を安全に設計するには、地盤調査を行うことが前提であるということが書かれております。
ここには、「高さ2メートル以上の擁壁に限る」といった限定も書かれていません。
にもかかわらず、 「建築基準法では高さ2メートル以下だから対象外」との一点を拠り所に、調査は不要だったと結論づけていますが、松山市がこの擁壁工事針に正面から向き合わないことは、やはりどこか、無理があるように思えてなりません。
さらにこの指針を検証に参照しないことに、もうひとつ重大な矛盾が生じています。
それは、松山市が今回、擁壁の設計に「標準設計」を用いていることです。
この標準設計というのは、現場の地盤条件が一定以上に良好であることが前提となって初めて適用できるものなのです。
同じく指針に、「標準設計は、背面盛土および基礎地盤を含む全体としての安定性は考慮していない。現場条件に応じて、全体の安定性の確認を行う必要がある」
と明らかに現場条件に応じた地盤調査の必要性が明記されています。
それを地盤調査もせずに、「標準設計」を採用しているですから、それは設計手法の前提条件を満たさないままであることは、明白ではないでしょうか?
全国的に広く使われる指針と照らし合わせることなく地盤調査をおこなわなかったことを「問題なかった」とする市の説明が、果たして通用するのか。
今こそ、その判断の妥当性が問われています。
そこで伺います。
1点目、 地盤調査を行わなかったことの妥当性の根拠について、なぜ『道路土工 擁壁工指針』に正式に照らして検討を行わなかったのか。
2点目、 標準設計を用いているにもかかわらず、地盤調査を行わなかった妥当性の根拠について、市の見解を伺います。
[理事者答弁] 開発建築部長
1点目、2点目については関連がありますので、一括してお答えします。
緊急車両用道路の擁壁は、「道路土工 擁壁工指針」等に基づいて土木構造物として、整備しました。
また、この工事は道路の道幅を広げるものではなく、既存の道路面を掘削していること、設置する土木構造物は小型重力式擁壁であることなど、設計内容や現場条件を検討し、地盤調査は不要と判断しました。
1-3. 復旧工事のための土地使用に関する契約の状況並びに正式な賃貸借契約を締結すべき必要性について問う。
[質問全文]
今回の土砂災害で、とりわけ被害が大きかった 3件の家屋のうち、2件の所有者の方と、直接お話を伺う機会を得ました。
ご本人から「議会での言及をご承諾」いただきましたので、ここでご紹介します。
災害発災後、市から当該2件の被害住民の方に公費解体の提案があり、そのご説明に従って、そのまま公費解体が実施されました。
被災された方は、「その後は市が土地を買い取るもの」と考えておられましたが、すでに1年が経過しようとしているにもかかわらず、買い取りはいまだ実現していません。
もちろん、土地の買い取りには一定の手続きや協議が必要であり、時間を要する場面もあることは理解します。
しかし、問題はその間の市の対応の在り方です。
市に確認したところ、「買い取りに向けて交渉中であり、丁寧に対応している」
とのことでしたが、実際に住民の方から伺ったお話とは、齟齬があります。
とくに深刻なのは、市が現在もその土地を、城山復旧などの公共工事のために使用し続けているにもかかわらず、賃貸借契約が締結されていないこと、賃料の支払いもなされていないこと、仮住まいにかかる補償も一切ないことです。
しかも、この借用が口頭のまま行われているというお話を伺っております。
もし本当であれば、公共の工事として民間の土地を利用する行政対応としては、にわかには信じがたく、 極めて不適切と言わざるを得ません。
愛媛県からは、12月に土地利用を求める書類の提出の依頼があり、地権者は署名されているそうですが、市からは土地利用に関する書類は無く、あくまでも口頭で利用することを承諾した伺っております。
「松山市や城山のためになるなら」との思いで工事に協力されてきた被災者に対し、このような不透明で責任を欠いた対応を取り続けることは、市の信頼を損なう結果につながるのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
さらに、公費解体に伴う市の説明のあり方にも問題があります。
家電などには生活再建支援金が支給された一方で、撤去された家屋そのものについては支援対象外とされたそうで、撤去のうち一件は、半壊でしたが、もう一軒は、躯体も残っていたのでリフォームできる可能性もあった状態ですのに、後になって、「リフォームであれば生活再建支援金の対象になった可能性があった」と知らされたそうです。
住民の方は、「それなら解体の前に、その可能性をきちんと説明してほしかった」と率直に訴えておられ ました。
これは、制度上の線引き以前に、行政としての説明責任を果たしていなかった結果であり、住民の生活再建を支えるうえで、手落ちであったと言わざるを得ません。
現在、市が工事のために使用している当該土地について、賃貸借契約は口頭のみで、書面未締結・賃料不払い・仮住まい無補償という状況が1年以上続いているのは事実でしょうか。
所有者からの承諾が得られたなら、工事のための土地使用について、被災者へ丁寧に説明を行たうえで、正式な賃貸借契約を早急に締結した上で使用すべきと考えますが、市の見解を伺います。
[理事者答弁] 開発建築部長
被災家屋の土地については、地権者に対し、災害復旧工事だけではなく、城山の維持管理にも必要な用地であるため、土地を購入する前提で、工事用車両の進入路や工事ヤードとしても無償でお借りすることを口頭で説明し、承諾を得ています。
現在、土地を購入するため、関係者同士で土地の境界を確定していただくよう依頼していますが、その調整に時間を要している状況です。
そうしたことから、改めて地権者のご要望を聞きながら、適切に対応していきたいと考えています。
以上です。
1-4. 住民説明会の開催と住民に真に寄り添った今後の対応方針について問う。
[質問全文]
本件災害対応については、初動から市の判断や対応の在り方に、多くの疑問が残ります。
そして中でも、住民対応こそが、その課題を最も象徴しているのではないかと、私は強く感じています。
災害から半年以上が経過して、ようやく開催された松山市主催の住民説明会では、「説明が一方的だった」「質疑の時間が足りなかった」といった不満の声が相次ぎました。
その後、複数の議員による住民対応に関する質問に対し、市は「個別に丁寧な対応を行っている」と繰り返し答弁しており、住民説明会の再開催も必要無しとのお立場ですが、しかし実際には、「個別に丁寧に対応されていない」と感じている住民が、今も数多くいらっしゃいます。
「必要な情報が得られていない」「納得できる説明を受けていない」といった声が、複数の被災者から寄せられており、それを象徴するように、住民の方々はこれまでに計6回にわたり、質問状や要望書を市に提出しています。
さらに、今年4月に実施された住民アンケートでは、47件の回答のうち、
「個別に丁寧な説明に満足している」と答えたのは、わずか2件。
43件が「説明は不十分だった」「対応に納得できない」と回答しており、市が主張する対応と、住民の実感とのあいだには、大きな乖離があることは、明らかです。
加えて、今年7月に市に提出された要望書には、121世帯・210名の署名が集まっており、住民の中にある説明不足と不信感が、いまだ根強いことがうかがえます。
こうした住民の訴えと、市の現在の姿勢との間には、明らかなズレがあります。
災害の原因や責任の有無を検証することと同様に、丁寧な説明と対話によって信頼を回復することが、今まさに求められているのではないでしょうか。
私は、市が一度立ち止まり、住民の声を真正面から受け止め直すべきだと考えます。
住民説明会も、住民の方から要望があるであれば、開催しない理由は見当たらないように思います。
さらに、一部の住民の方々が、現在、市を相手取った訴訟の準備を検討していると、聞き及んでおります。
本来であれば、住民は裁判など望んでいなかったはずです。
それでもやむを得ず法的手段に踏み切ろうとされている現状は、市が誠実な対話を尽くしてこなかったからではないか―その現実に向き合う必要があるように思います。
また、「市が災害で住民からの訴訟」ということになれば今後の松山市のイメージや信頼、観光・移住・定住の促進にとっても、大きなマイナスになりかねません。
市は、こうした事態に至ったこと、住民との信頼関係に溝が生じてしまったことを真摯に反省し、今からでも誠実に、対話をもって向き合うべきではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
現時点での住民の不信や疑問に誠実に向き合うためにも、改めて住民の希望されている住民説明会を開催すべきではないでしょうか。
あわせて、住民に真に寄り添った今後の対応方針について、市の考えをお聞かせください。
[理事者答弁] 開発建築部長
被災された方からのご質問やご要望について、その都度、各担当部局が個別に丁寧に対応してきました。
今後も、住民説明会については、住民の方々が知りたいことが人によって様々であることから、個別の対応を継続していきます。
また、工事についても、これまでもできる限り作業の音を抑制した機械の使用や、工事車両の砂ぼこりの抑制、伐採した樹木の臭い異臭の防止などをしておりすが、引き続き、細心の注意を払い、工事の進行状況を、ホームページでお知らせするなど、住民に寄り添った丁寧な対応に努めます。
以上です。
2. 持続可能な財政運営について
市税収入の確保並びに今後拡大していくための取組を問う。
[質問全文]
続いて、財政健全化への取り組みについて松山市の財政運営は一定程度堅実に進められていると認識しておりますが、今後の持続可能な財政運営に向けて、歳入に関して質問させていただきます。
今年、総務省発表の最新類似団体比較によると、本市の地方税収入、人口1人当たりの決算額は142,808円であり、全国の中核市平均である164,442円を21,634円下回っています。
また、四国内で人口規模も近い高松市は156,028円と、松山市を上回っています。
地理的にも近い高松市との間に、こうした税収の差が生じていることは、今後の財政運営や施策の選択肢にも、少なからず影響を与える可能性があると受け止めています。
このように比較から、本市の地方税収入は相対的に低く、自主財源の確保という点で課題を抱えていることが見えてきます。
自主財源の根幹である地方税収が少ないということは、国からの交付税や補助金、松山市で言えば競輪会計からの繰入など、外部財源への依存度が高いことを表しています。
この状態は、国の制度改正や景気動向に影響を受けやすく、長期的な財源としての安定性は低いと言わざるを得ません。
確かに、本市が財政的に黒字を維持できているのは、競輪事業の収益や、道後温泉・松山城といった観光資源による収入が大きく支えているからで、 こうした先人たちが築き、残してくださった資産に支えられていることは、本当にありがたく、誇るべきことです。
しかしながら、自治体の財政の“胆力”とも言えるのは、やはり地方税収です。
産業構造の違いはあるものの、自動車産業が活発な豊田市や、化学・鉄鋼・繊維などの産業拠点を抱える姫路市、倉敷市など、特色ある産業基盤を活かして高い税収を確保している自治体もあります。
過去からの歴史的背景は自治体によって様々であり、簡単に地方税収の増加を図ることは困難であることは理解できますが、持続可能な市政運営を進めていくためには、税収を確実に確保していくことが不可欠であります。
そこで、お尋ねします。
安定的な財政基盤を構築するために、税収の確保・拡大に向けてどのような取り組みを実施してきたか、さらには今後どのような取り組みを行っていくのか、本市の見解をお示しください。
[理事者答弁] 理財部長
市税収入の確保に向けた取組では、市民負担の公平性や債権管理の適正化を図ることが重要です。
そこで、口座振替を推奨するほか、コンビニ収納、スマートフォン決済などの収納方法を拡充し、納期内の納付を推し進めています。
また、滞納者への対応では、文書や電話での催告のほか、夜間・休日の相談窓口を開設し早期の自主納付を勧奨するなど、未収債権の縮減に努めています。
こうした取組により、令和 6 年度の市税の徴収率は98.83パーセントで、中核市62 市中、11位となっています。
次に、今後拡大していくための取組ですが、税収の増加につながる中小企業の支援や観光誘客の推進など地域経済の活性化に向けた施策を推し進めています。
また、今年度からは、段階的に、保険料などの債権を納付推進課に集約し、全庁を挙げて一体徴収する体制を構築することで、より効率的な債権管理に取り組んでいます。
以上です。
3. 企業誘致について
本市のこれまでの企業誘致の取組の成果と課題を踏まえ、今後の戦略について問う。
[質問全文]
先の質問で述べたとおり、持続可能な財政運営のために、市税収入の安定的な確保は喫緊の課題です。その中でも企業誘致は、市税収入を増やすうえで極めてインパクトの大きい施策です。
新たな企業の立地は、固定資産税や法人市民税の増加に加え、雇用の創出、若者の定着、地域経済の活性化へと波及します。
一般に、100人規模の製造業や大型ショッピングモールの立地は、地域経済への波及効果が10億から数百億円規模に達する事例も報告されています。
松山市は物価や家賃が安く、企業にとって魅力的なコスト環境を持つと市の公式サイトで強調していますが、実際には企業の近隣自治体への移転や出店が目立っています。
たとえば、コストコホールセールジャパンは、最終的に、東温市で建設候補地が準備されつつあります。
またレンゴー株式会社は、外環状線の工事に伴い、 10年近く前から移転が避けられないとわかっていたにもかかわらず、通勤の関係から松山市内での移転を望む声があったけれど、最終的に東温市へ移転しました。
また、コイル巻線機で世界トップシェアを誇るNITTOKU株式会社も、東温市に出店を決定しています。伊予市には飲食ブランド「バルニバービ」が進出し、総投資額15.2億円規模の大型観光拠点の整備が進められている例もあります。
もちろん、松山市は中核市として一定の都市規模がゆえに、出店決定前の土地調整や、市街化調整区域での商業施設整備に制約が生じるなど、制度的なハードルや不利を抱えていることは事実です。
工業用地の確保が厳しいという現実もあります。
しかし、せめて市内企業の市外転出を防ぐために、都市計画法に基づく地区計画を活用し、農地を転用するなどして、工業団地を整備するといったチャレンジは、必要だったのではないでしょうか?
近隣自治体の成功例と比較すると、松山市では立地や家賃の安さという強みがありながら、企業誘致の「目に見える成果」が限られているため、これまでの取組を客観的に分析し、課題を整理した上で、今後の戦略にしっかりと反映させていくことが求められているのではないでしょうか。
また、これまでの制度的な課題に加え、人事の面でも検証も求められます。
松山市では、担当職員の定期的な異動が目立ち、専門性を継続して高めていく体制が育ちにくいという構造的な課題もあると感じています。
企業誘致に成功している自治体のある首長は、「企業誘致の担当職員は途中で変えない」と明言していると耳にしました。
いずれにしても、他自治体に後れを取らないためには、これまでの取り組みの客観的な分析と、時代に合わせた戦略の再構築が不可欠だと感じます。
そこでお伺いします。
これまでの企業誘致の取り組みによる成果と課題を踏まえ、これからの企業誘致戦略をお聞かせください。
[理事者答弁] 藤田副市長
まず、取組の成果についてですが、本市では、立地の優位性を活かし、楽天保険グループなど大規模な雇用を生む事務センターやコールセンターなどを積極的に誘致してきました。
また、大手のボイラーや農業機械のほか、繊維や化学品のメーカーなどによる市内での大型設備投資を支援してきました。
これらの取組により平成13年の条例制定以降、延べ131社が立地し、1,250億円規模の投資と、6,700人を超える雇用を創出しています。
一方で、本市は産業用地が不足しているという課題から、関係部局で横断的に対応することが必要であると考え、令和4年12月に私をトップとする庁内関係部局会議を立ち上げ、産業用地の開発に向けた検討を行っています。
土地の利用が制限される地区では、地域未来投資促進法の特例措置の活用に向け、関係者と協議を進めているなど、産業用地の早期確保へスピード感をもって取り組んでいるところです。
次に、誘致戦略についてですが、市内4大学の情報系学部の開設等により、多くのデジタル人材が育成されることやオフィスビルの建設が進んでいることから、将来の成長が期待できるIT企業のほか、事務センターや特に投資額が大きい製造業を中心に、誘致活動を進めており、今後も、戦略的に取り組んでいきたいと考えております。
以上です。
4. ふるさと納税について
本市のふるさと納税の今後の寄附額の成長目標、委託事業者選定の方針及び新たなふるさと納税への取組について問う。
[質問全文]
続いて、ふるさと納税についてお伺いします。
ふるさと納税は、市税収入を高めるうえで即効性の高い施策であり、自治体が自ら「稼ぐ力」を持てるかどうか――その本気度と戦略が、極めて如実に問われる分野です。
本市のふるさと納税は、ここ数年で驚くべき成長を遂げています。
令和3年度、6億6千万円だった寄附額は、令和4年度9億7千万円、5年度18億6千万円。
6年度、約24億6千万。この3年で実に3.7倍という飛躍的な伸びを示しています。
競争激化の中、これはひとえに、担当職員の皆さま、委託事業者の皆さまの不断の努力の賜物であり、深く敬意を表します。
この快進撃の起点となったのが、令和5年度に実施されたプロポーザル方式の見直しです。
私は 2022年9月定例会において、本市のふるさと納税委託事業者の選定に関し、プロポーザル仕様書と選考委員の見直しの必要性について質問いたしました。
具体的には、寄附額の拡大に向けて、WEB広告への投資、人材配置、ECマーケティング力など、成果に直結する要素を評価項目に反映する必要性についてお伝えしたものです。
その際、市から「検討する」とのご答弁をいただき、実際に2023年度の仕様書において具体的な変更が加えられ、仕様を見直しによる事業者選定によって、わずか1年で前年比92%という驚異的な伸びを記録しました。
この成果は、決して偶然ではありません。
ふるさと納税成長の鍵は、戦略とパートナー選びにあります。
そして、令和5年度からの契約は、今年度末で終了予定となっています。
たとえば、福岡市では、起業家や女性創業者を応援するプロジェクトに寄附が集まり、地域の担い手育成や関係人口の創出につながっています。
高知県須崎市では、水産加工の新工場や地域ブランドの確立にふるさと納税を活用、再投資によって、寄附額はすでに37億円を超えています。
松山市もまた、そうした“共創型”の寄附に踏み出すべき岐路に立っていると感じています。
そこで、伺います。
今後の本市のふるさと納税の寄附額の成長目標をどのように描いているのか、いま問われているのは、これまで成果を上げてきた“仕組み”と“伴走者”を、どう次につなげていくのかという視点です。
そして、まさに今、新たな伴奏者選びを控えたこのタイミングにおいて、次の成長をどんなパートナーと目指すのかが、極めて重要な判断となります。
これからのふるさと納税は、単なる返礼品競争の時代を終え、地域の構想や挑戦そのものに共感が集まる時代へと移行しています。
6月議会でも申し上げた通り、全国の先進事例では、寄附者が“モノ”ではなく“想い”に対して寄附をする動きが広がっています。
いわゆる「ふるさと納税 3.0」や「スタートアップ支援型ふるさと納税」と呼ばれる取り組みが、全国各地で広がっています。
そして、委託事業者選定の方針、加えて、「ふるさと納税3.0」や「スタートアップ支援型ふるさと納税」といった、新たなふるさと納税への挑戦について、見解をお聞かせください。
[理事者答弁] 産業経済部長
まず、今年度の寄附額は、昨年度実績から1割増となる27億円を目標にしており、今後も全国の伸び率を上回るよう、寄附額をさらに増加させていきたいと考えています。
次に、委託事業者の選定については、制度改正に的確に対応し、業務を安定的に運営することに加え、寄附額拡大の専門的な知識やアイデアを持つ事業者を選定する必要があり、これまでの受託実績などを踏まえ、適切に対応していきます。
最後に、新たなふるさと納税への取組ですが、「ふるさと納税 3.0」などの支援型の取組は、産業の活性化と寄附額の増加につながる可能性があると認識しています。
現在、本市では、市内経済の活性化に向け、「松山ファンサイト」を立ち上げるなど、ふるさと納税と観光や物産の振興を連携させた取組を重点的に推進しているため、現時点で「ふるさと納税 3.0」などの導入は予定していませんが、引き続き、国の動向や先進事例などを踏まえ、調査・研究したいと考えています。
以上です。
5. 松山駅周辺整備とアリーナについて
・ 5-1.
①整備の遅れに対する本市の認識とその要因並びに進捗を加速させる手立ての有無について見解を問う。
②駅周辺整備における今後の全体ビジョンの提示の必要性について本市の考えを問う。
・ 5-2.
①これまでのアリーナ構想の進め方について、本市としての認識を問う。
②今後の整備に向けて民間事業者の参画をどう促すか、その戦略について本市の考えを問う。
5-1.
①整備の遅れに対する本市の認識とその要因並びに進捗を加速させる手立ての有無について見解を問う。
②駅周辺整備における今後の全体ビジョンの提示の必要性について本市の考えを問う。
[質問全文]
JR松山駅前再開発について、質問します。
この事業は、松山市にとって極めて重要な事業です。
将来の都市機能の強化、交通利便性の向上、駅周辺のにぎわい創出を目的に、松山の“玄関口”を大きく生まれ変わらせる構想で進められており、成功すれば県内外にわたり、長きに渡って恩恵をもたらす可能性を秘めたプロジェクトです。
大型事業への市民の関心も高い中、本日は、そんな市民の皆さまから寄せられるお声を踏まえ、質問させていただきます。
2024年、新しい高架のJR松山駅が開業しましたが、
にぎわい創出の中核となるべき駅前空間、市民の目に最も触れる場所は、いまだ更地のままです。
バスターミナルやアリーナ、路面電車の延伸、駅ビルの整備といった主要な事業はいずれも計画段階にとどまり、再開発の全体像や完成までの道筋が、市民にも、民間事業者にも十分に共有されていないのが現状です。
私の元にも、工事の進捗に不安を感じる声、「遅すぎるのでは」との指摘が、多く寄せられます。
松山市はこれまで、都市計画的な視点から、一定の方向性を示してはきましたが、それは抽象的な方針にとどまっており、市民や関係者が「将来像」を具体的に描けるようなビジョンは、いまだ提示されていないと、認識しています。
今年の検討会においても、地元住民や交通事業者、専門家から「駅前再開発の全体ビジョンを早く示してほしい」という声が相次ぎました。
また、愛媛県が松山市に対し、再開発におけるビジョンとリーダーシップの不足を指摘したという報道も注目を集めましたが、同様の声は市民の間にも広がっており、私のもとにも多く届いています。
自治体にも、「都市経営」の視点が強く求められる時代です。
合理性とスピーディな意思決定、そして透明性の高い、市民と共に創り上げていくプロセス が、今まさに必要とされています。
ビジョンの共有やオープンな情報発信によって、不安に感じられている市民の声を、まちの未来への期待へと変えていくことが、今松山市に求められていると感じます。
そこでお尋ねします。
1点目、JR駅前整備の進捗の遅れへの指摘を、市はどのように受け止めているのか。
遅れがあったとすれば、要因をどのように分析されているか、また今後、整備を加速させる手立てについて、市のお考えをお聞かせください。
2点目、駅周辺整備における今後の全体ビジョンを、市民や関係者に提示する必要性について、 本市のお考えを、お聞かせください。
[理事者答弁] 交通拠点整備担当部長
1点目ですが、松山駅周辺整備は、都市インフラのベースとなる土地区画整理事業と連続立体交差事業に加え、アリーナを含むエリア全体で賑わいを生み出す、50年、100年先を見据えた大規模な事業です。
その中でも駅東側は、従来の区画整理の手法に捉われず、アリーナと親和性のある一体的な民間開発を誘導したいと考えており、関係者や関係機関の皆さまとの多岐にわたる調整などに、時間を要しているところです。
今後も、丁寧な調整や検討を心掛けるとともに、引き続き、スピード感を持って、取り組んでいきたいと考えています。
2点目ですが、昨年9月の鉄道高架切り替えにあわせ、駅周辺再開発への市民の皆さんの関心の高まりから、西側にはアリーナ、東側には商業施設やこどもアミューズメントなど、エリア全体のにぎわい創出や交通機能強化などを目指す駅周辺の全体ビジョンとして、市長が「将来像」を発表しました。
その具現化に向け、先月、アリーナ整備に関するサウンディング型市場調査を実施し、25者の民間事業者から様々な提案を受けました。
また、現在、駅周辺の民間開発の可能性などに関するサウンディング型市場調査を実施しています。
これらをもとに、整備イメージやコンセプト、事業スケジュールなどをまとめたモデルプランを今年度、作成する予定です。
このモデルプランを市民や事業者の皆さまにお示しし、まちづくりへの関心を高めていただくとともに、議論を深めることが、理解と協力につながると考えています。
以上です。
5-2.
①これまでのアリーナ構想の進め方について、本市としての認識を問う。
②今後の整備に向けて民間事業者の参画をどう促すか、その戦略について本市の考えを問う。
[質問全文]
松山にアリーナを整備するという構想自体は、スポーツ・文化・MICE・防災といった多機能を備えた施設として、松山市の活性化につながる大きな可能性を秘めています。
特に、中心市街地に飲食店や繁華街が集積する“コンパクトシティ・松山”だからこそ、その立地特性を活かした経済波及効果が期待でき、地域経済の底上げにつながることから 、私もこの方向性に共感しています。
しかし、アリーナ建設構想の発表から、まもなく1年が経とうとしていますが、現在もなお、事業費の規模や整備行程が 市民に十分示されていない状況です。
そもそも松山市が平成27年度に策定した基本構想では、車両基地跡地にホールを整備する方針とともに、将来的な市民会館の代替機能の確保の可能性について言及されていました。
そうした経緯がある中で、昨年9月に「アリーナをつくる」という方針だけが、議会や関係者にも知らされないまま、先に発表されたことについては、私としてはやはり、進め方に課題があったのではないかと感じています。
この点は、先の6月議会でもお伝えしたところです。
もちろん、時代の変化が加速するなかで、Bリーグの盛り上がりやアリーナを核とした地域振興の成功事例が各地で生まれてきたことなどは、平成27年当時には到底予測できるものではありません。
そうした背景を踏まえて、基本構想を柔軟に見直すこと自体は、私は否定しません。
しかし、構想を見直すのであれば、まず検討会を立ち上げ、関係者の声を丁寧に聞き、「松山にふさわしいアリーナとは何か」という将来像を描くプロセスが、発表よりも先に必要だったはずです。
文化・スポーツ関係者との意見交換、県との調整、用地や採算性の見通しなど、一定の勝ち筋が見えた段階で初めて、市として正式な方針を発表すべきだったと考えます。
文化ホールも、市民会館の代替機能を持つホールの方向性を打ち出したうえで、基本構想を転換するという順番でなかったことは、文化ホールを望む市民の声を無視することになりかねない手順だったと感じております。
アリーナについて、現在検討されている敷地の狭さが指摘されており、全国の8000席規模のアリーナと比較すると、現在の場所が手狭なのは事実です。
同時に、駅の西側や東側には、車両基地跡地以外にもアリーナ活用につながる民間保有地が存在しています。
例えば、駐車場になり得る場所も残されているのですが、用地取得や民間との提携など、計画は見えていない状態です。
本気で車両基地跡地にアリーナを建設するのであれば、構想だけが先行するのではなく、そうした周辺の土地も含めて、より広い用地を計画的に活用し、今よりも自由度の高い整備も検討して、戦略を取る必要があるのではないでしょうか。
さらに、今回のアリーナ整備は、採算性と持続可能性を前提とした、民間投資ありきのプロジェクトです。
しかしながら、駅前全体の将来像や整備の道筋が不透明な状態では、民間が、現段階で投資判断を下すことは、難しいのではないかと考えます。
特に、駅の東側の活用方針が示されないまま、西側の大型投資だけを促すことは、現実的とは言えません。
そこで伺います。
1点目、市民や関係者の不安の声に向き合うために、まず、これまでの進め方について、市としてどのように受け止めているのかお伺いします。
2点目、将来的な財政リスクを回避しつつ、官民連携で持続可能な整備を実現するために、今後どのように民間参画を促していくのか。
戦略を、お聞かせください。
[理事者答弁] 交通拠点整備担当部長
1点目ですが、車両基地跡地の活用は、経済団体からの提言と文化団体からの要望の両方の実現を目指し、検討会やワークショップなどの意見も参考に、検討を重ねてきました。
こうした適切な手順を踏みながら、基本構想で示した「文化創造」「活動支援」「賑わい交流」「交通アクセス」「防災」の5つの主要機能を備えた5,000 席以上のアリーナを整備するとした基本計画を策定したものです。
2点目ですが、アリーナ整備にあたり、基本計画では、具体的な規模や機能などについて、民間事業者が提案しやすいよう幅を持たせた内容としています。
この基本計画を踏まえ、サウンディング型市場調査などで、民間事業者との意見交換を重ねるとともに、駅周辺の立地条件の良さや開発情報を提供するなど、事業参入しやすい環境を整えていきたいと考えています。
以上です。
6. 女性活躍について
本市における女性活躍の今後の戦略的な取組方針及び体制強化や予算確保について、本市の見解を問う。
[質問全文]
私はこれまで、市議会の場を通じて「女性活躍」の必要性を繰り返し訴えてまいりました。
今回は改めて、本市の今後の戦略についてお尋ねします。
女性活躍は人権や平等の観点に加え、経済活動そのものに直結します。
出産・育児とキャリアが天秤にかかる状況は、労働人口が減少する中、貴重な人的資本の損失です。
加えて、男女間の賃金格差はいまだ深刻で、地方ではその傾向が顕著です。
男女間賃金格差と、若年女性の県外流出には、一定の相関関係があると、内閣府関係の講演でも紹介されており、 また、国の有識者からも、『男女賃金格差に向き合わなければ、若年女性の地方定着は実現しない』との警鐘が鳴らされています。
実際、松山市でも若年女性の県外流出は顕著であり、喫緊の課題です。
その背景には、「この街では働きたいと思える職場に出会えない」「望む働き方が叶わない」といった声があり、それは就職を選ぶ女性に限らず、起業やフリーランスという働き方を選ぶ女性にも共通する現実です。
だからこそ今、自治体に求められているのは、出産育児とキャリアの両立をあきらめずに済むまちを、本気で実現していくことです。
それができてこそ、女性たちに“選ばれるまち”として、未来に向けて成長していけると感じます。
他の自治体では、すでに戦略的な取組が進められています。
熊本市では、柔軟な勤務制度を導入する企業に助成金を交付、「女性が働きやすい職場認証制度」を導入。
さらに、「 デジタルスキル習得支援」などに約560万円の予算を投じ、着実な支援を進めています。
藤枝市では、市職員がテレワークや時差出勤を活用して育児と仕事を両立し、そのノウハウを地域企業へ波及。
加えて 、体制面の強化も進んでいます。
富山県では2021年に「女性活躍推進課」を設置。
愛知県大府市では2025年に「女性活躍推進室」を新設。
宇都宮市でも、2025年度から同様の課を設置。
愛媛県にも少子化対策・男女参画課が設置されており、女性活躍を推進する企業の支援に、2025年度当初予算に約1.5億円を計上しており、本気度がうかがえます。
翻って本市では、今年 5月30日から「女性活躍推進イベント開催支援補助金」が始まり、資格取得やイベント支援などが予定されていますが予算は110万円と小規模で、また、これをどのように中長期的な政策や戦略へつなげていくのか、不透明です。
体制を整え、予算を確保し、女性活躍に本気で取り組む自治体のように、松山市も本気でこの問題に向き合う覚悟が問 われています。
そこでお尋ねします。
本市における女性活躍の今後の戦略的な取組方針及び、体制強化と予算確保について、本市のお考えを、お聞かせください。
[理事者答弁] 市長
職業観や家庭観が大きく変わる中、松山市は、女性に選ばれ、女性が活躍できる地域づくりが必要と考えています。
そこで、今年5月に部局を横断し、女性活躍推進プロジェクトチームを立ち上げ、市内企業で働きやすさや従業員のスキルを高めるほか、女性特有の健康課題を支援するなど、さまざまな視点で検討をしています。
その際、経済団体や松山市男女共同参画推進財団から意見を聴きながら、企業などの現状を把握しています。
部局を横断して体制を強化するとともに、事業化に向けて、国の交付金などをいかして予算を確保し、女性それぞれが思い描く働き方をできる社会の実現を目指します。
以上です。
質問要旨
1. 城山土砂災害について
2. 持続可能な財政運営について
3. 企業誘致について
4. ふるさと納税について
5. 松山駅周辺整備とアリーナについて
6. 女性活躍について