令和7年3月定例会における質問 | 田中エリナ(田中えりな)Official Site【松山市議会議員】

令和7年3月定例会における質問

質問要旨
1. 城山の土砂災害について
2. 市の強みや資産を生かす稼ぐ地域づくり施策について
3. 民間投資を呼び込む官民連携の再開発について
4. 情報発信の在り方について
5. 文化施設の在り方について
6. 女性活躍について


1. 城山の土砂災害について

・ 1-1. 城山の土砂災害に関して、管理に瑕疵があったとは言えないとする本市の判断根拠について問う。
・ 1-2. 城山の管理の瑕疵について、第三者委員会の設置による検証の必要性の有無について問う。
・ 1-3. 土砂災害後の本市の対応について、見解を問う。


1-1. 城山の土砂災害に関して、管理に瑕疵があったとは言えないとする本市の判断根拠について問う。

[質問全文]
本市で発生した城山土砂災害について質問します。
まず初めに、尊い命を落とされた3名の方のご冥福を、心からお祈りしますとともに、災害に当たり被害にあわれた住民の皆様が、一日も早く元通りの生活に戻れることを願いまして、質問に入らせていただきます。
昨年7月に発生した城山土砂災害に関して、本市は、2月24日に開かれた住民説明会において、城山の管理に対して松山市に『管理瑕疵はなかった』と断定した発表を行いましたが、この判断に疑問があり、 質問させていただきます。
管理瑕疵とは、耳慣れない言葉ですのでわかりやすく言い換えると、営造物と言われる市の持ち物が、通常期待される安全な状態で管理されていなかったことを表します。
その災害が、『事前に予見できるものだったか?』という、『予見可能性』という観点が、重要視されます。
事前に予想できたのでは、であれば、防止のために策を打つべきでしたよね?という考えから、管理瑕疵が認められた場合、被害者に対して公共団体は、損害賠償責任を負う可能性があります。
私は以前から、城山土砂災害に関して、見舞金や、生活再建金という、責任の有無を明確にしない形での対応ではなく、「国家賠償法に基き、城山の管理瑕疵が本市に有るのか無いのかに関して、第三者の調査を受け、管理瑕疵責任の有無を明確にした上で、対応すべき」との立場から議会で質問を重ねてまいりました。
昨年12月定例会において、私の質問に対する本市のご答弁は「愛媛県が設置した災害の発生メカニズムを検討する技術検討委員会の発表を待ってから、管理瑕疵については、専門家の意見を聞く」との内容でした。
そして、技術検討委員会が調査報告を発表したことを受け、本市は、先日開かれた住民説明会で、次の4点をもって松山市は管理に瑕疵がなかったと考えていると発表しました。
細かくなりますが、大切なことですので、その4点について、確認していきたいと思います。
松山市に城山の管理に瑕疵がなかったと判断した根拠、 1点目は、災害が発生した区域は、これまでに同様の災害が発生していないこと。
2点目は、災害が発生した区域が、土砂災害警戒区域から、除外されていたこと。
3点目は、災害原因とされる水は、流れてきた漂流水だけでなく、把握困難な地下水が関連したこと。
4点目は、市が設置した緊急車両用道路から離れた場所が、災害発生の起点となったこと。
以上のことから、今回の災害の予見は難しい状況だったとの見解を、市は発表しました。
こうした市の見解に対して疑問があり、以下質問いたします。

1点目、今回災が起こった場所は、過去災害がなかったため、今回の災害は予見不可能だったとの点ですが、これは、城山のエリアによって災害が予見できる部分とできない部分があったと説明したということです。
状況を例えて申し上げますと、市役所庁舎の南側の外壁が剥がれる事故があった時点で、外壁の劣化について注意を払い管理すべき事案を把握した。
後日、北側の外壁に同様のことが起きたが、過去、北側の外壁が剥がれたことがなかったので、北側については予見不可能だった。
そう説明していることと同じです。
この例えと同様、市の営造物としての城山は、山の南側の愚陀仏庵の倒壊を引き起こした土砂災害を経験しているため、近年の局地的豪雨の状況を考えても、過去に一部倒壊した山であれば、山全体において、土砂災害が起こりうることを特段の注意を払って管理するべき営造物であったと考えるのは自然のことでではないでしょうか?
同じ山でも場所が違うから、予見不可能との結論に至るのは、市民は納得できないかと思います。

3点目、地下水の斜面不安定化に関連して、災害が発生した地域には、高さ30メートルを超える倒れた
大きな木が発生したとのこと。
崩落した区域には、天然の林があったと考えられます。
一般的に、土災害の予防には、樹木の手入れが欠かせないといわれます。
手入れを行うことで、山の隅々にまで光が届き、地表近くの植物が育つことで、土砂崩壊防止機能を守ることができるからです。
樹木を管理するために策定する樹木管理計画というものがあるのですが、本市は 2023年に策定しており、それまでは樹木の管理計画が無いままに城山を管理していたことになり、土砂災害防止につながる樹木管理に問題がなかった、と言えない可能性が見えてきます。

2点目、先に申し上げました通り、特段の注意を払って管理すべき市の営造物たる城山山体ではありますが、先日の会見では当該地域が『土砂災害区域から除外されていたため、災害は予見不可能であった』と市は主張されています。
土砂災害警戒区域の指定要件は、急傾斜地の崩壊、土石流、地滑りの崩壊などが発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じる恐れがあると認められる区域で、危険を周知し警戒避難態勢の整備が行われる区域ということでありますが、そのことが、指定されていない地域が安全かつ、災害への備えについて特段注意を払わなくて良い、という、管理瑕疵責任が無い地域ということを示すものではありません。
市の営造物である以上、警戒区域もそうでない場所も、管理瑕疵は、問われます。
先日の市の説明は、逆説的に申し上げれば、市の営造物で、土砂災害警戒区域内は予見可能として責任を持つ考えでいるということになりますが、そうであるならば、警戒区域とそれ以外の区域で管理体制、管理記録、管理手法などにおいて、定量的な観点での違いもって管理していたのでしょうか。
そうでなければ、道理が通らなくなってしまいます。
そして、樹木管理計画の第3章第2節の「現在の樹木等の状況」の中にある、城山の森林土壌の「浸透能」の項目を見れば分かる通り、浸透能、つまりその地表にある水分を吸収し、浸透させることのできる量は、城山の南北の代表2地点において「優」「良」「可」「不可」の4段階の評価のうちいずれも「不可」記されているのです。
この浸透能以上の雨が降ったあった場合は、表面流が発生することを示している、との表記もあります。
2024年7月18日のNHKの報道によれば、「史跡松山城跡樹木管理計画」が策定された際、樹木管理計画の中に、今回災害が発生した松山城の城山北側について「人命保護の観点から早期に(対策に)取り掛かる必要がある」と明記されており、「一定以上の雨が降った場合は、表面流が発生し、斜面崩壊が起こりやすい環境」と言及したとあります。

これらのことから、市も少なくとも1年以上前から、災害を予見できる事実を把握していた、ということになり、今回の災害が予見不可能との現在の市の主張と、明らかに相反する状況です。
過去に城山で土砂災害が起きているにも関わらず樹木管理計画策定が遅きに失していることに加えて、2023年策定時点で、松山城の城山北側の危険性を、松山市が明確に予見している事実があるにも関わらず、今回に関しては『土砂災害は予見不可能だった』と言い切れるとは、到底考えられません。
当時の樹木管理計画策定後、城山北側で具体的に樹木の伐採が何本おこなわれていたか、間伐はどの程度の頻度で行われたのかなど、土砂崩壊防止機能を高めるために適切な管理を施してきたのかという点にも、疑問が残ります。

最後4点目に、 道路から離れた場所が災害発生の起点となったことから、市の管理瑕疵責任はないとの判断ですが、国家賠償法は市の営造物に対しての管理瑕疵が問われるもので、営造物を市が設置したかどうかによって、管理責任の有無は左右されません。
昨年8月の臨時会において、清水議員からの質問の際、城山は市の営造物であるとのご答弁をいただいている通り、城山全体が、間違いなく市の営造物であります。
この度の説明会の、市が設置した道路から離れた場所が災害起点になったため、市の管理に瑕疵がないとの見解は、松山市が城山全体を営造物としてお認めになっている以上、道理が成り立たないと考えられます。

以上縷々申し述べましたが、市の営造物の一部において平成22年の大雨で愚陀仏庵が流れ、平成30年の西日本豪雨で、古町口登城道で土砂災害発生。
そんな中、近年の気候変動で局地的大雨が増加している状況。
その上、城山内の緊急車両用道路の擁壁の傾きが7年も前に確認されており、また緊急道路のヒビに関して、市民から、城を管理する指定管理者に通報があった事実が確認できていること。
土砂災害防止につながる樹木管理に目を移しても、 策定は遅きに失し、策定後の管理にも疑問が残る。これらの事実を前に、災害の予見は困難であった、市の管理に問題はなかったと、現時点で言い切る市の判断は、市民の目から見ても到底納得できるものではないのではないと主張させていただきたいと思います。
国家賠償法の有名な判例に、岐阜で起きた飛騨川バス転落事件があります。
観光バス が、集中豪雨に伴う土石流に巻き込まれて、飛騨川に転落し た事故において、観光バスを直撃した『土石流の発生そのものが予知し得なかったものである』が、事故箇所を含む区間では土石流の『発生の危険およびこれを誘発せしめた集中豪雨は、通常予測し得たものである』との見解から、広い範囲での『予見可能性』を認められ、損害賠償が認められました。
このような事例を見ましても、現時点で松山市が国家賠償法と照らし合わせて、管理瑕疵なしと断定できるのか、疑問です。
国家賠償法の主眼、予見可能性について、本市の主張を持って、『災害は予見できなかった』管理瑕疵責任なしと断定できるとは思えず、今回の質問に至りました。
そこでお尋ねします。
近年の集中豪雨被害の降雨量を鑑みても、城山の土砂災害の予見可能性は、素人目にも、非常に高いと見て取れる数多の事実を踏まえてもなお、城山の土砂災害に関して、管理に瑕疵があったとは言えないと発表した本市の判断根拠について、本市の見解をお示しください。



[理事者答弁] 市街地整備課
本市として緊急車両用道路の設計・施工の妥当性や、本件災害発生箇所の管理の瑕疵の有無について、検討委員会の資料をもとに、専門家の意見も踏まえて確認した結果、緊急車両用道路の設計・施工に問題はなかったと判断しました。
また、過去の愚陀佛庵や古町口登城道の災害とは発生メカニズムが異なります。
そうしたことから、本市として本件災害の発生を予見したり、その結果を回避することは不可能であったと考えられますので、その管理に瑕疵があったとは言えないと判断しました。


1-2. 城山の管理の瑕疵について、第三者委員会の設置による検証の必要性の有無について問う。

[質問全文]
続いて、城山管理瑕疵について、第三者委員会の設置による調査の必要があるのではないか、という立場から、質問を行います。
先の質問で申し上げた通り、城山土砂災害において本市は、『責任を認めず賠償せず』との発表に至りましたが、繰り返しになりますが、市が賠償責任を負うかどうかの判断は、国家賠償法に基づき判断されるもので、本市の管理瑕疵責任の有無を明らかにする必要があります。
どうして災害が発生したか?という点や発生の原因に市が関与していたか?ではなく、災害は事前に予想することはできなかったか、通常期待される安全が担保されるような適切な管理ができており、管理に落ち度はなかったか?という点を調査する必要があるということです。
市の管理瑕疵責任を、早急に第三者によって明らかにすべきではないか、という私の定例会での質問に、昨年の9月12月、市は一貫して、「愛媛県が設置した技術検討委員会の発表を待ってから、管理瑕疵については、専門家の意見を聞く」とご答弁されています。
そもそも、技術検討委員会の検証範囲は、愛媛県と松山市が災害後設置した連絡調整会の第6回目の会議において、「緊急車両用道路が土砂災害に与えた影響(発生メカニズム)」を検証範囲とする、ということを明確に示しており、松山市の城山の管理の瑕疵について検証する委員会ではないことは、周知の事実です。
このことから、市の管理瑕疵の有無については発生のメカニズムとは別に、検証する必要があることは、明らかです。
管理体制及び対応に問題はなかったのか、ということを調べる必要があり、これらは災害の発生誘因素因とは別の問題です。
しかし、この度の住民説明会で発表された市に管理瑕疵責任がなかったとする市の説明の根拠を確認すると、技術検討委員会の発災メカニズム解明の調査報告を受けて、その後、市は専門家とされる有識者にヒアリングを行い、その上で市の主観的かつ独自の解釈や見解において判断したとのことで、管理瑕疵責任の問題は、第三者的な検証を受けたものではありませんでした。
発災以来、管理の瑕疵について市民から半年以上に及ぶ疑惑の目が市に向けられているにもかかわらず、市はその疑いを晴らすための第三者委員会の設置を頑ななまでに先延ばしています。
賠償の責務を負う 可能性を発災以来半年を経てなお、第三者的に否定できていない状況が続いております。
市の管理瑕疵が認められた場合、速やかに賠償を行わなければならなかったにも関わらず、半年、1年と 遅れてしまったとなっては、遅れた分だけの住民の皆様のご心労やご心痛、かけてしまった生活のご不便に対しても賠償責任を負うのではないでしょうか?
イタズラに、管理瑕疵責任に目を向けず先延ばしにして逃れ続けることは、住民はもちろん、市にとって良いこととは到底思えません。
そもそも、市の管理瑕疵有無が認定される要件は国家賠償法によると、営造物の管理が適切であったかに対してであり、物理的な発災のメカニズムを解明するための技術検討委員会が検証している事柄と別ですので、発災の物理的要因と管理瑕疵の人的要因は因果関係が認められるにしても、両方の側面から同時に原因究明が出来ることから、技術検討委員会の報告を待つ必要はなく、市は早い段階から、独自で管理瑕疵を調査することができたし、そうするべきっだったと思えてなりません。
もはや待ったなしで、管理の瑕疵について真摯に調査すべき状況に追いこまれているにも関わらず、市の担当課に問い合わせたところ、専門家にヒアリングしたプロセスを経て、結論に至ったため、管理瑕疵責任の有無について、今後調査する予定はないと伺っております。
今の状態を例えると、何かの疑いがかけられた容疑者が、自分で選んだ専門家に相談しただけで、自分で無実だったと決めて主張している状況と同じです。
市の営造物に関連して人の命が失われた災害に対して、内部調査のみでは、真に公平・公正・客観的な判断で、市に管理瑕疵に責任がなかったと、市民は認めるでしょうか。
さらに先の質問で述べた通り、市の管理にいくつもの疑問点が露呈している状況下において、第三者による調査なしで、技術検討委員会の発表後わずか1ヶ月足らずの間に行われた、市独自の専門家へのヒアリングのみで、管理瑕疵責任無し、よって賠償責任無しとの判断は、あまりにも拙速であるし、到底納得できるものではないと、言わざるを得ません。
先に述べた、市がヒアリングしている専門家の皆様においては、無論、その矜持にかけて公平・公正なご判断をいただけると信じています。
しかし、そのヒアリングの結果に、市の独自の解釈や見解を加えた管理瑕疵の有無の判断ではなく、市 も市民も双方納得できるよう、第三者委員会を設置すべきと考えます。
市が選んだ個人の専門家ではなく 、第三者委員会は複数人が市から独立して調査を行うべきで、結果の発表は、市に事前に共有されることはなく、市民に対しても同時に行われることで、より公平性が担保されます。
市に管理瑕疵責任がないと言うのであれば、正々堂々と第三者委員会の公平な調査によって市の潔白を 証明するべきだと考えます。
そうでなければ市民と司法の場で争う未来も見えてきます。
そうなればさらに解決に時間も労力もお金も要することになります。
改めて、お尋ねします。
城山の管理の瑕疵について、第三者委員会の設置による検証の必要性があると思われますが、市の見解をおしめしください。

[理事者答弁] 市街地整備課
専門家にご意見を伺ったところ、国・県・市と学識経験者からなる検討委員会が適切に調査や検討を行っており、これ以上の追加の調査や検討は難しいとのご意見をいただきました。
また、道路の設計や施工、城山の管理に関しては、その分野の専門家にご意見を伺い、市として妥当性を確認するものとしたため、改めて、第三者委員会を設置し検討する必要性がないと判断しました。


1-3. 土砂災害後の本市の対応について、見解を問う。

[質問全文]
城山土砂災害、最後の質問の質問です。
災害後の本市の対応について、伺います。
城山土砂災害発生後、本市が市民に寄り添った対応ができているか疑問があるため、質問します。
災害発生後、松山市は要綱に基づいた見舞金を7月にご遺族に5万円、住宅全壊世帯に3万円、半壊世帯に2万円、床上浸水世帯に1万円に支給。
続けて、8月に生活に不便をかけているとして、見舞金を追加支給。
全壊世帯に20万円、半壊世帯に14万円、 一部損壊世帯に7万円。
そして生活再建金の支給を行うために、10月に1億7千万円の補正予算を上程。
議会も可決しました。
これは被害があったと回答した83件で割れば1件あたり200万円ではありますが、自動車や家財、建物などに多大な被害を受けた住民からすれば、元通りの生活に戻れる金額と差し合わせると不十分であり、金額が折り合わず予算だけが計上され、執行にならないケースが多数で膠着していると伺っております。
そもそも先の質問で述べた通り、賠償責任の有無を市民が納得できる形で検証することなく、賠償ではなく見舞金として支給している状況では、市民との間に溝が生まれるのも自然なことと考えます。
さらに被害住民から本市に対して提出された要望書や質問状に対しても、回答の遅れが市民から指摘されています。
市民側の目線に立って考えると、発生メカニズムに関しても、松山市ではなく愛媛県が設置した委員会が調査をしており、賠償責任についての第三者による検証もなく、そして市民が一番松山市に不信感を抱くことになったのは、市が主体的に行う住民説明会の開催の遅れです。
過去議会において、市は被害住民に個別丁寧に対応しているとご答弁もありましたが、住民から聞きおよぶ事実とは大きく違うと感じております。
市の持ち物である営造物、しかも松山市のシンボルである城山での災害において、尊い人命が失われた災害にショックを禁じ得ない市民が多く、注目が集まる中、本市の対応に対して、被害住民のみならず多くの市民から失望の声が上がっております。
土砂災害発生以後、私が継続してこの件を議会で質問させていただいておりますのは、いたずらな市の批判や追求が目的ではなく、今後起こりうる災害の際の対応に今回のケースを生かすためにも、正しい対応の在り方を議論すべきと考えているからです。
明日が当たり前にくると思っていたのに、寝ている時に土砂に埋もれて命を落としてしまう。
それが、もし自分の家族の身に起こったら、ここにいる私たち全員、どのように感じ、松山市に対して何を思うでしょう?
そのように相手の立場に立って慮ることで、市民に近い基礎自治体としての、真に市民に寄り添った対応の在り方が見えてくるように思えてなりません。
残された私たちにとって、できることは、災害に対して適切に備えることに加え、災害は、市の営造物にも襲いかかるものと考え、発災後のスムーズな対応の在り方や、安心安全なまちづくりを実現していくために、今回の災害に、真摯に向き合うことと、考えます。
土砂災害発生後、7か月以上も経ってようやく松山市による住民説明会が開催されたこと。
そして、説明会の再開催を求める住民の声に応えていないことについても、これまでの対応が、真に市民に寄り添っているといえるでしょうか。
そこでお尋ねします。
本市の土砂災害後の本市の対応について、市民に寄り添う対応として適切だったとお考えになっているか、見解をお聞かせください。


[理事者答弁] 市街地整備課
本市としては、被害に遭われた方々が元の生活に戻れる環境を整えることを最優先に取り組み、これまで、二次災害の防止対策をできるだけ早期に完了させ、再発防止に向けた取組みを進めてきたところです。
また、見舞金の追加給付に加え、新たに生活再建金の給付を議会の同意をいただいて行いました。
説明会についても、県が実施した説明会に市も参加させていただいたものも合わせて、3回実施し、住民の皆様からご意見を伺うなど、本市の対応は適切だったと考えています。
今後も住民の皆様に対して、引き続き、丁寧に個別に、適切に対応していきたいと考えています。


2. 市の強みや資産を生かす稼ぐ地域づくり施策について

・2-1. ネーミングライツを積極的に導入すべきと考えるが、本市の考えを問う。
・2-2. 本市のふるさと納税寄附額30億円に向けた取組計画を問う。
・2-3. 松山市総合計画における外国人観光客数の達成に向けた本市の取組計画を問う。


2-1. ネーミングライツを積極的に導入すべきと考えるが、本市の考えを問う。

[質問全文]
続いて、市の強みや資産を生かす稼ぐ地域づくり施策について質問します。
一つ目は、ネーミングライツ導入です。
松山市の財政は一定健全な状態を維持できているものの、少子高齢化や人減少に伴って税が収減少することから、防災・教育・福祉など多岐にわたる市民サービスを維持向上していくためには、自治体自らが財源を確保する取り組みが必要です。
持続可能な財政を実現するためにも『積極的に稼ぐ自治体をめざす』という観点から、質問させていただきます。
稼ぐ自治体、そのひとつにネーミングライツが挙げられます。
民間企業が市の財産にお金を払って命名できる権利のことで、命名する企業にとってはブランド価値の向上や宣伝効果が見込めます。
自治体は得られる収入を、財源とし、市民はその恩恵を受けられる三方よしの政策です。
ネーミングライツの始まりはアメリカで、1973年にアメリカンフットボールチームのスタジアム名称を 1,500万ドルで購入した事例で、日本の公共施設では、2003年「東京スタジアム」が、「味の素スタジアム」となり、5年間で15億円の契約。
これがネーミングライツ導入の始まりでした。
ネーミングライツの相場は、施設の規模によって大きく異なり、年間数億円単位のネーミングライツを思い浮かべる方も多いと思います。
例えば、 Yahoo!JAPANが2005年に福岡ドームのネーミングライツを取得したときの金額は、5年契約で25億円です。
しかし昨今、ネーミングライツ導入は多様化しており、大型施設だけでなく、地方自治体が管理するスポーツセンター型の施設が数百万円でネーミングライツを導入していたり、自治体によって、トンネルや道路、歩道橋や公衆トイレなど、より身近な施設で10万円単位で気軽に取り組めるネーミングライツが、広がりを見せています。
ネーミングライツとして正式に販売された道路の例を上げると、2017年に埼玉県戸田市の道路のネーミングライツを売り出したところ、イオンリテール株式会社が年額61万円で契約し、「イオンわくわく通り」と命名されました。
地域貢献と同時にイオングループが行っている割引セール「お客さまわくわくデー」を想起させる効果があったそうです。
北名古屋市は、市内循環バス「きたバス」を将来にわたって運行していくために、バス停留所86カ所で命名権を随時募集しており、契約金は1カ所あたり年9万6千~12万円。
多くの協賛企業に賛同いただいているそうです。
また公衆トイレの場合、契約金は0円の代わりにトイレの維持管理をパートナー企業が担う形での導入も例があり、市民は清潔さや最先端の設備が導入されているトイレを利用できる事例もあります。
大府市は、2017年度から命名権事業に乗り出し、文化会館など6施設で愛称をつけており、担当課の担当者は、「自主財源の確保はこれまで以上に、重要になってきている。企業側の希望があれば活用できるものは何でも活用したい」と説明している記事が新聞に掲載されるなど、ネーミングライツへ本気で乗り出す自治体の例は、枚挙にいとまがありません。
愛媛県では、愛媛県総合運動公園を、ニンジニアスタジアムとしてネーミングライツを導入、通称「ニ ンスタ」と認知されております。
愛媛県民文化会館は 2008年から2019年の間で実に10年以上に渡り、ひめぎんホールと命名され、大規模改修を機に、命名権が廃止された今でも市民の中には「ひめぎんホール」と呼ぶ方もいらっしゃるほど、親しまれ生活に溶け込んでいます。
ネーミングライツ事業に積極的に取り組む横浜市では、2024年に168施設に導入する意向を示し、市場調査したとの報道があります。
なお、令和5年度の横浜市の財政力指数は0.94、本市は0.74です。
ネーミングライツで、この差が埋まるとは思えませんが、小さなことでもできることから積み重ねることで、財政を1ポイントでも多く改善していく努力が、これからの自治体には求められていると思います。
ネーミングライツは、四国の県庁所在地でも導入が進んでおり、高松市11施設、高知市12施設、徳島市13施設で公募されています。
四国の県庁所在地で最も遅れをとった形ではありますが、本市でも、ようやく1施設目となる、道後温泉近くの公衆トイレで、命名権の募集が、今年始まりました。
道後温泉本館東側広場内の公衆トイレに係るネーミングライツ・パートナーの募集中で、最低価格10万円、その他役務の提供も認めるなどの、新しい形も期待できるネーミングライツです。
現在募集中ですが、すでに応募の意欲を見せている民間企業が手を挙げているそうで、松山市の民間企業にとってもニーズがあったことが分かりました。
四国中核都市の中でも遅れをとってしまっている状況を鑑みましても、今回の第一号となる取組を積極的に調査研究し、今後加速度的にネーミングライツを活用し、持続可能な財政を実現と市民サービスの向上につなげるべきと考えます。
そこでお尋ねします。
道後温泉本館東側広場内の公衆トイレに係るネーミングライツ・パートナーの導入を皮切りに、本市でもネーミングライツを積極的に導入すべきと考えますが、本市の考えを、お聞かせください。

[理事者答弁] 財政課
ネーミングライツは、市の収入につながる手法の一つであるとともに、企業にとっても、PRやイメージアップに効果があると認識しています。
一方で、施設の名称が変わることで、混乱を招く可能性や、施設の設置者や利用目的が分かりにくくなるなどの課題もあります。
また、本市には、坊っちゃんスタジアムのように、既に公募等で愛称が決定され、広く市民に親しまれている施設が多くあり、これらには導入が難しいと考えています。
既に、道後温泉本館東側の公衆トイレでは、ネーミングライツ・パートナーを募集しており、他の施設への導入については、それぞれの施設の利用目的や状況に応じて検討していきたいと考えています。 

 
2-2. 本市のふるさと納税寄附額30億円に向けた取組計画を問う。

[質問全文]
続いて、ふるさと納税の質問です。
稼ぐ自治体の代表といえば、ふるさと納税です。
松山市のふるさと納税の寄附額は、令和3年度までは、市場の伸びと同じ程度の伸びの見せ、6億6千万でした。
私は、2022年12月議会で、松山市のポテンシャルを考えると30億円の寄付額を目指せるのでは、と質問させて頂きました。
当時はまだ夢物語のようだったかもしれませんが、執行部の皆様に即時対応いただき、令和3年度から、委託事業者を選定するプロポーザル仕様書も改善され、他自治体で実績のある委託事業者が選ばれ、ふるさと納税担当課が、納税課から地域経済課に移り、ふるさと納税・経営支援課長というポストが新設され、令和3年度寄附額6億6千万から、令和6年度は、なんと現時点で21億6千万に達し、過去データから試算すると、さらに着地は積みあがる予想になるほど、躍進を遂げました。
今や寄附受入額30億は夢物語ではなく、達成が見えているように思えます。
市長をはじめ担当職員の皆様のスピードを持って変化に対して行動を起こしてくださったこと、心から敬意を表します。
しかし、令和6年度は、好調にも思えますが、昨年度からの伸び率で見ますと128パーセントでした。
これは市場の伸び率と、同じ程度です。
昨年度、県内20市町の寄附額ランキングは、松山市は2位で、今年度は1位かと期待していましたが、八幡浜市が今年度9億円増の32億円の最高額を見込むとの報道があり、念願の1位にはなれないようです。
ふるさと納税は、寄附額が歳入増につながるだけでなく、市外の方が松山を知る関係人口増加に繋がったり、市内事業者のEコマース事業への参入を促したり、市内事業者のデジタル技術底上げにも繋がるなど、多くの相乗効果が得られます。
本市も令和7年度から、『中小企業販路拡大事業ECモール進出応援補助金』を準備しており、ふるさと納税事業者にもご案内予定と伺っておりますので、まさにふるさと納税をきっかけに市内事業者のEコマース事業への新規参入しやすくなる、た市内事業者による外需獲得が期待できる、好循環のインフラが整いつつあるように感じます。
ふるさと納税の日本全体の市場規模は、令和5年初めて1兆円を超える1兆1175億円でした。急成長しているので、ふるさと納税は、もう頭打ちではないかというお声を耳にすることもありますが、市場で見るとまだまだポテンシャルがあります。
単純計算してみますと、最大市場規模は2.4兆円あることになり、まだまだ松山市がシェアを拡大することは十分に可能です。
民間人材登用の好事例として何度か定例会で取り上げさせていただいた、元Netflix勤務、プロモーションのプロフェッショナルである澤正史(さわまさふみ)氏が、新潟県三条市のCMO(チーフマーケティングオフィサー)として2021年10月に三条市に移住、就任してから、三条市はその後1年半で、令和2年度寄附額7億円から令和4年度50億円と大きく増加した例を見ても、ふるさと納税は後発でも大きく飛躍させることが可能と言えます。
より一層、それぞれの自治体が工夫を凝らし、ふるさと納税に力を入れる中、松山市も挑戦の手を緩めることなく、県内の寄附額上位自治体のランキング1位、寄付受入額30億を目指したいと考えます。
そこでお尋ねします。
今後、より一層、様々な工夫を凝らし、委託事業者と連携してマーケットシェアを高め、寄付額を上げていくために、本市はどのような計画を描かれているのか、市の考えを、お聞かせください。

[理事者答弁] ふるさと納税・ 経営支援課
今年10月の国の基準改定による申込受付サイトのポイント付与廃止に伴い、9月に寄附が集中することが予想されるため、本市では、人気の柑橘など、旬のある返礼品の先行予約を充実させるとともに、観光地の強みを生かせるよう、宿泊に特化した申込受付サイトを追加し、旅行・宿泊クーポンへの寄附を促進します。
また、生産者・事業者と連携し、本市ならではの魅力ある返礼品の安定供給とラインナップの充実を図ることで、さらなる寄附額の増加に取り組んでいきたいと考えています。


2-3. 松山市総合計画における外国人観光客数の達成に向けた本市の取組計画を問う。

[質問全文]
続いて、外国人観光客誘客の質問です。
松山市は、8割以上が第3次産業の街で、そのうち、卸売・小売業が最も多く、約5000事業所4万6千人の方が従事しておられます。
次いで、宿泊・飲食サービス業が約2400事業所、2万人の方が従事しておられます。
本市の産業構造から考えると、観光客数が本市の経済に与える影響は大きく、本市の経済発展につながります。
本市市民にとって、観光業の潤いはそのまま市民生活の潤いに直結すると言えます。
コロナ禍が過ぎ去って以来、日本国内の観光は順調に回復しており、本市でも令和5年の市内全体の宿泊者数は約237万人となっています。
しかし、残念ながら将来に渡りこの状況が続くとは考えづらいのが正直なところです。
その理由は少子高齢化によって、国内旅行客が減っていくため、これから確実に国内観光需要が縮小することを考えると、今後は、国内観光客に加えて、外国人観光客、インバウンド誘客が欠かせません。
現在の松山市のインバウンド誘客は、搭乗率8割を誇る国際線に支えられ、2024年の国際線の利用者数は29万人に達する見込みであることが報じられています。
好調に数を伸ばしているものの、しかし第6次総合計画に定められている31万人の目標には、まだ到達しておらず、次の第7次総合計画ではぜひとも目標に到達したいところです。
外国人観光客に松山に来ていただくためには、ターゲットとする国ごとに、戦略を立てて取り組む必要があると言われています。
国ごとに旅行に対するニーズが違ってくるからで、先にも述べた通り、国際線が就航する韓国、台湾のアジア圏からは多く観光に来ていただいていますが、アジアに比べて一度の旅行で平均消費額が最大で4倍ほど高い、欧米豪からの訪問は、本市でもまだまだ仕掛けがこれからの状態で、今後、本格稼働予定の西のゴールデンルートアライアンスの動きにも期待が高まります。
インバウンド誘客には、旅前、旅中、旅後、それぞれに取り組みが必要です。
旅前は、マーケティングによる認知拡大、ブランディングによって旅に来る動機を作ること、SNSによる情報発信。
旅中は、環境の面的整備、観光コンテンツの醸成、多言語、キャッシュレス対応、Wi-Fi対応整備、 さらには来松者が旅中にSNSによる情報発信をしたくなるようなスポットや機会づくり、施設や旅館のDX化など。
旅後は、口コミやSNS投稿を促す仕掛け、リピーター確保施策と、インバウンド拡大に向けては様々な事業を立ち上げなければなりません。
観光施策事業を立ち上げていくためには、予算が必要で、独自の観光の自主財源確保も、喫緊の課題です。
現在、産業経済委員会で調査研究が進行中の宿泊税の導入など、観光に使える財源確保の検討も、急がれます。
道後温泉誇れるまちづくり推進協議会が、2024年3月に策定した、道後温泉2050ビジョンの中では、2050年の目標は、宿泊者目標80万人、インバウンド比率は、実になんと半数となる50%に定めています。
民間のインバウンドへの取り組みが加速する中、本市としても、官民連携でインバウンド誘客を加速させる後押しするべきだと考えます。
そこでお尋ねします。
松山市総合計画における外国人観光客数の達成に向けた本市の取組計画を、お聞かせください。
地域の経済活性化につながるインバウンド誘客の取り組み、期待しています。

[理事者答弁] 観光・国際交流課
本市では、「瀬戸内・松山構想」に基づきインバウンド誘致も進めてきた中、令和6年5月に、「松山国際観光客誘致推進協議会」を立ち上げ、韓国・台湾などアジア圏を主な対象として旅行会社への助成等を実施してきましたが、7月には「西のゴールデンルートアライアンス」に参画し、欧米豪に向けた体験型コンテンツの造成や国内最大級の商談会への参加など、新たな誘客策も進めてきたところです。
今後も、これらの取組みに加え、4月から開催される大阪・関西万博でのブース出展等により本市の認知度を高め、更なる外国人観光客の増加を目指します。


3. 民間投資を呼び込む官民連携の再開発について

・3-1. 松山中央商店街再生に向けた本市の取組を問う。
・3-2. アリーナ構想の基本計画をできるだけ早く策定し、次の段階として参入の可能性がある事業者などを対象とした整備案を募集するなど、民間を巻き込む本市の今後の計画について、見解を問う。


3-1. 松山中央商店街再生に向けた本市の取組を問う。

[質問全文]
続いて、民間投資を呼び込む官民連携の再開発について質問します。
まずは、中央商店街と呼ばれる、銀天街大街道銀天街についてです。
大街道を中心とした松山中央商店街について、これまで本市は、人々の消費を喚起する施策を中心に、支援の姿勢を継続しているものの、増える駐車場や空き店舗が目立つアーケードに、中央商店街の今後を不安に感じる市民のお声を耳にします。
人々の消費行動は変わってきており、これまでの対面物販中心の、物を買う行動から、インターネットショッピングが台頭してきています。
商店街は、対面物販、小売商店が集まっている場所、としての機能に頼っているだけでは、活気を取り戻すことは、厳しいと考えられます。
松山市における中央商店街に、これからどんな機能が求められているのか、今一度、再定義すべき時期にきていると考えます。
昨年12月には、中央商店街を含む市内の中心エリアが、都市再生緊急整備地域に指定され、規制緩和や税制優遇などの、民間資本を呼び込むチャンスに恵まれました。
そうした状況下において、本市では空き店舗への出店奨励金を準備していますが、これは積極的にディべロッピングする形ではなく、あくまでも出店希望者を待つ形です。
公共交通から自動車交通を利用する人が増え、中心市街地から周辺部へ移り住む人が増え、隣町の大型シッピングセンターが開業し、オンラインショッピングが台頭してきたという時代の変化の中で、以前の賑わいを失いつつある中央商店街において、状況やハードは変わらない中で、出店を待つ、出店希望者に一時的に奨励金を出すのみでは、到底中央商店街が、息を吹き返すとは考えられません。 


同じ奨励金であれば、古くなった建物自体を積極的にリビルド・建て替えすることにつながる、再開発につながる支援も求められてくるところです。
なぜなら、空き店舗が埋まらない具体的な原因は、平成30年度商店街実態調査報告書に掲載されている「空き店舗が埋まらない理由」のアンケート結果によると、地主など貸し手側の回答では、店舗の老朽化が原因との答えが、4割にも上るからです。
現在本市では、国の専門家を呼び、商店街関係者とともにこれからの商店街の在り方を模索する試みが進行中と伺っておりますが、今の中央商店街は待ったなしの状況であり、スピード感のある取組が求められています。
商店街がシャッター街化してくると、地域の経済が衰退すると言われています。
買い物客や観光客が減 少し、周辺地域のビジネスにも悪影響を及ぼし、その他にも、治安の悪化、地域の魅力の低下、インフラの老朽化などのデメリットが複合的に作用し、シャッター街の問題は、地域全体に深刻な影響を及ぼします。
それほど商店街という場所は、地域にとって影響の大きい場所であり、特に松山における中央商店街は中心市街地を市駅から道後方面へつなぐ、大動脈の場所に位置し、現在でも昼間人口は県内随一の場所です。
通称L字と呼ばれている、開発計画が長年膠着している場所も含めて、中央商店街再生のために、民間が投資したくなる商店街へと蘇らせることは、本市の喫緊の課題です。
本市には、ロープウェイ商店街と花園商 店街の好事例もありますから、まさに市財政へ、固定資産税のインパクトも大きい中央商店街再生へ、そろそろ本気で乗り出してもいいのではないでしょうか。
これまでの市全体のデザインにもかかわるマクロな視点での商店街のビジョンを、未だに商店街関係者から、ビジョンが出来上がるのを待つという市の姿勢には、疑問を感じております。
都市再生緊急整備地域に指定された市内中心部全体に渡り、街づくりのビジョンをもつ基礎自治体として、リーダーシップを発揮して、商店街関係者を巻き込み、共に、松山市の中心位置する中央商店街の賑わい創出に関する商店街の在り方の策定に、いち早く取り組み始めるべきではないでしょうか?
散発的で待ちの姿勢となる対策では、商店街に賑わいを取り戻すための起爆剤となる、民間企業から大型投資を呼び込むことも困難だからで、せっかくの都市再生緊急整備地域に指定されたチャンスの今こそ、本気で中央商店街再生へ、松山市がリーダーシップを発揮して商店街関係者と手を取り合い臨むべき時と考えます。
そこで質問です。
松山中央商店街再生に向けた本市の取組を、お聞かせください。

[理事者答弁] 企業立地・産業創出課
令和6年度、本市では、国と協力して商店街関係者や、有識者、学生等の参加のもと、商店街の将来像について考える勉強会を開催しました。
また、不動産所有者へ建替えなどの意向調査を行い、利用状況や課題などを把握するほか、中央商店街と連携し、必要な店舗の誘致に向けた検討を行っています。
令和7年度は、商店街にある資源を観光コンテンツとして造成し、観光客を呼び込み、消費拡大へつなげるほか、店舗誘致の検討結果や、建替え意向の調査結果をもとに、引き続き、商店街や経済団体などと連携し、中央商店街の再生に向けた取組を進めていきたいと考えています。 


3-2. アリーナ構想の基本計画をできるだけ早く策定し、次の段階として参入の可能性がある事業者などを対象とした整備案を募集するなど、民間を巻き込む本市の今後の計画について、見解を問う。

[質問全文]
続いて、アリーナ計画について、質問します。
昨年9月、松山駅車両基地跡地に、アリーナの整備を目指すことが市長から発表されました。
松山駅周辺には手付かずの空き地が残っており、再開発を不安に思う市民にとっても、明るいニュースとなったのではないでしょうか。
アリーナの構想は、松山駅周辺の再開発にとどまらず、松山市全体の活性化、そしてスポーツや文化芸術、MICE対応など賑わいの核となり、さらには防災機能までカバーする多目的な施設として整備を予定されており、地域活性のドライバーとなるアリーナへ、多くの市民も期待を寄せくださっているかと思います。
お隣の高松市、JR高松駅に、およそ202億円をかけて建設された中四国最大級となる収容人数1万人の香川県立「あなぶきアリーナ香川」が、まさに今月24日にオープンし、こけら落としとして人気バンド、「サザンオールスターズ」のコンサートが行われその後も、大規模イベントが相次いで開催される予定となっております。
こうしたイベントに伴って周辺のホテルでは、県外からの宿泊予約が相次いで満室状態となるなど、地域経済への活性化に期待が高まっているように、アリーナの経済効果は多数の近年オープンしているアリーナが実証しているところです。
松山市におけるアリーナの整備計画について、その後の進展について、質問します。
アリーナ整備を目指して、現在、松山市では、「松山市車両基地跡地広域交流拠点施設整備検討会」が開かれており、開催回数は、5回予定されています。
第1回は昨年11月25日、第2回は今年2月4日に開催されていますが、この間、およそ2ヶ月の期間を要しています。
このペースでいくと、5回目の終了は初回から10ヶ月後となります。
アリーナは従来の赤字が続く施設運営からの脱却を目指し、経済合理性を担保しつつ、市民サービスの向上とともに、財政に負担をかけない持続可能な施設を目指すべきだと、考えます。
そのためには民間の力をお借りすることが、不可欠です。
全国のアリーナの建設方法の調査研究と運営状況の把握、完成後の活用方法、運営方法を踏まえ、官民連携ありきの計画が必要であり、検討段階から民間を巻き込んでいくことが重要です。
これまでのような官主導の事業ではなく、今後官民連携を前提として、アリーナ運営を見据えるために、完成後、利用する当事者となる関係団体や市民の声を聴くためにも、関係者や民間から意見や提案を受ける機会を多くするべきだと考えます。
今年4月にオープン予定の神戸のアリーナ「ジーライオンアリーナ神戸」は、アリーナを基点に神戸の新たなまちづくりをおこなう社会課題解決型アリーナの創出を目指していますが、1万人収容人数規模でありながら民設民営、民間が作って民間が運営するプロジェクトであり、これからのまちづくりには、いかに民間投資を呼び込めるかが、鍵となってくることが見て取れます。
公設の場合でも、その後の運営に は民間との連携が欠かせないことから、建設に至るプロセスにおいて、民間を巻き込んでいく施策が求められます。
こうしたことから、基本計画をスピード感を持って定めつつ、民間の参入意欲を確認する調査を同時に行うべきと存じます。
基本計画を策定し、次の段階として、具体的な参入の可能性がある事業者を対象とした整備案を募集するなど、さらに民間を巻き込んだ形で進めていくことで、建設後の運営を見据えたアリーナに近づいていくのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。
アリーナ構想の基本計画をできるだけ早く策定し、次の段階として、参入の可能性がある事業者などを対象とした整備案を募集するなど、民間を巻き込む本市の今後の計画について、本市のお考えをお聞かせください。

[理事者答弁]交通拠点整備課
車両基地跡地で検討しているアリーナと小規模なホールについては、有識者や関係団体で構成される検討会や、市民が参加するワークショップを開催し、様々な意見を頂きながら、基本計画の策定を進めています。
施設の整備や運営には、PFIやコンセッション方式など、民間の資金力や経営能力と技術能力の活用が必要ですので、できるだけ早く基本計画を策定した後、サウンディング型の市場調査を行いながら、民間事業者の参入意欲を促し、魅力的な企画提案書の提出に繋げていきたいと考えています。


4. 情報発信の在り方について

市民に寄り添った信頼される自治体としての情報発信の在り方について、本市の見解を問う。

[質問全文]
続いて、松山市の情報発信について、質問です。
ここ最近の松山市の情報発信の姿勢について疑問があり、いくつかの事例に基づき質問させていただき ます。
まずは報道機関を通じた情報発信のタイミングです。
一例を挙げますと、昨年9月のアリーナの整備事業の発表、これ自体は明るいニュースでありますが、収容人数2000人程度のホールからの方針転換は、関係者への事前説明が不十分なままに、報道機関を通じた発表が先行したと聞き及んでおります。
議会への事前説明も記者会見の前日で、じゅうぶんな経緯説明 がないままの発表でござました。
ホールの基本計画策定に携わっていただいた関係者の方々や、そのほかアリーナ建設を目指すために連携が必要な皆様への事前説明が不十分な状態での発表でありました。
続いての例は、愚陀仏庵です。
愚陀仏庵が番町小学校内に再建されること、これも、再建の道を模索していた中で、候補地が決まり進んでいくこと自体は喜ばしいのですが、番町小学校の児童や保護者の大半、地域住民の皆様は、報道機関の発表で再建計画を知ったとのこと。
当事者である児童や保護者から、観光客が校庭に来るのか?
工事のときには校庭の遊具どうなるのか?
などの心配のお声が上がったことは、無理からぬことと思われ、その声に押される形で急遽説明会を開く流れになったと伺っております。
何かを建設する、新しく作る際などは、特に関係者や協力者などいわゆるステークホルダーには、事前のできる限り丁寧な報告や連絡やご相談は、業務を進める上で必要不可欠と考えられます。
続いて、本市の記者会見の動画公開についてです。
松山市で配信公開される記者会見の動画は、編集されております。
特に、質問をしている記者の様子がカットされていて、市とのやり取りが見えません。
近年では、愛媛県をはじめ、映像を編集しない、全編公開している自治体も増えており、そのほうが情報を受け取る側からすると、信頼性が高いと受け止められています。
これからも編集を続けるのであれば、時間のない方には編集したものをご覧いただくことにし、詳しくご覧になりたい方は全編公開を考えてみるものひとつだと思います。
あるいは全編公開のみに絞れば、編集の工数を削減することができるため、コストダウンにもつながるのではないでしょうか?
さらに、残念ながら最近続いております松山市職員の不祥事の記者会見の在り方ですが、会見の市長のお姿が見えず、担当の幹部職員による公表という形になっていることに疑問がございます。
民間企業であればトップが謝罪の場に現れるのは自然なことであり、多くの他自治体でも首長の姿が見えます。
自治体のトップが不祥事を認めて、内容を理解し、その上で謝罪の姿を市民にお見せすることで、責任をもって再発防止のためのガバナンスの実現を約束するためでもあり、市民の安心にもつながると思います。
責任者のお顔の見えない、担当者だけの謝罪を見る側に立ってみれば、果たして再発防止につながるのだろうか、その不安を残すことになります。
デジタル技術が発達している今、ものすごいスピードで自治体それぞれの情報発信の手段は変化しており、昔に比べてコストをかけることなく、市民に多くの情報を即時性を持って届けることが、可能な時代になっております。
情報発信が、適宜適切でオープンな自治体と、そうでない自治体が分かれる時代に 、突入しております。
情報発信については、市民から信頼されるオープンな情報発信、そして適宜適切で、かつ丁寧な、市民に寄り添った情報発信方法の検討が必要ではないかと考えます。
そこで伺います。
最近は、インターネットを利用してよりオープンな情報発信で市民との距離が縮まっている自治体もあります。
そうした事例を研究して、市民に寄り添った信頼される自治体としての情報発信の在り方を模索するお考えはないでしょうか?

[理事者答弁] シティプロモーション推進課
本市では、市の取組をタイムリーかつ丁寧に市民に伝えることが重要と認識しています。
そこで、報道機関を通じた情報発信をはじめ、市のホームページや公式 SNS などを活用して、効果的に発信しています。
また、市民の情報ツールが多様化する中、職員の発信力を強化するため、外部講師によるセミナーや研修会などを行っています。
引き続き、他都市の事例も参考により一層、市民に寄り添った情報発信に努めていきます。


5. 文化施設の在り方について

将来想定される市民会館閉館の後、市民ニーズを満たす文化ホールの整備について、本市の取組計画を問う。

[質問全文]
続いて、松山市の文化施設について、質問します。
市民に愛されてきた松山市民会館が、耐用年数からその役割を終える時期が近付いております。
市民会館は、戦後20年も経たない昭和40年、1965年7月10日、鉄筋コンクリート造、地上4階地下1階で、市の文化振興に多大な貢献をしてくれた建物と言えます。
一般的に、コンクリート建造物の税法上の耐用年数は47年、実際の耐用年数はノーメンテナンスで60年といわれています。
市は、市民会館を補修しながら大切に使い続けてまいりましたが、今年の7月で完成から60年が経過しようとしています。
そのことを受け、本市は、松山駅前の車両基地跡地、閉館後の市民会館の代替となるような2000人程度のホールを作る基本計画の方針で動いてきましたが、急遽方針転換しアリーナの整備計画が立ち上がりました。
その結果、市民から、文化振興の場所であった市民会館がなくなってしまったら、その後の施設がどうなるのか、不安の声が聞かれるようになりました。
現在市民会館の耐用年数を調査しているとして、この春にいつまで使うことができるのか、判明するということですが、先にも述べた通りコンクリート建造物のおおよその耐用年数はわかっていることから、市のスケジュールが後手に回ったとの指摘は、残念ながら免れません。
調査の結果、仮に延命工事で市民会館の耐用年数を伸ばすことが可能であったとしても、60年を経た建物の基礎的な耐久力と設計の古さを考えると、予想される大地震に耐えてくれるのかどうか不安が残ります。
市民の血税を投じる以上、安易に延命を図るだけではく、早急に市民会館閉館後の文化施設の方向性を定めるべきです。
現在、整備が検討されているアリーナで、大きな規模のコンサートや様々な文化イベントの開催は可能ですが、クラシックコンサートや合唱、演劇やミュージカルなどは、音響が良いホールは、文化ホールを必要とします。
アリーナの整備とは別で、このようなイベントを市内で開催できる、市民のニーズに合致する文化施設を新たに検討するべきと考えます。
以前から整備が検討されていた2000人程度という収容人数も、文化ホール存続を求める市民の皆様のニーズに本当に合致しているかも、再度ヒアリングが必要です。
文化芸術を愛する皆さまのニーズをしっかりと把握し、市民会館が廃止されても、新たな文化芸術を体験できる場所の整備計画を早急に示すべきと考え、お尋ねします。
将来想定される市民会館閉館の後、市民ニーズを満たす文化ホールの整備について、本市の取組計画をお聞かせください。

[理事者答弁] スポーティングシティ推進課
松山市民会館は、今年度、空調、舞台装置などの設備や躯体を対象に、専門業者による老朽化調査を実施しており、その調査結果を踏まえたうえで、出来るだけ長く使いたいと考えています。
文化ホールについては、市民会館の利用者や文化団体など、関係者へのヒアリングを重ね、活動に必要な施設の機能や規模に関する意見をいただきました。
引き続き、市民ニーズの把握に取り組み、将来の松山の文化施設の在り方について、考えていきたいと思います。


6. 女性活躍について

男女の所得格差是正に向けた本市の意気込みを問う。

[質問全文]
本市の女性活躍の取組について、質問します。
世界経済フォーラムによる、各国の男女平等を示すジェンダーギャップ指数は、教育、健康、経済参画、政治参画の各分野における、男女間の格差を示すデータで、女性活躍を考える時、広く用いられています。
日本は、教育と健康についての男女間格差は限りなく0に近い、男女平等の数値を示しています。
しかし、経済参画分野は、女性は男性の5割程度、政治参加については1割程度と、ここに大きな差がついています。
結果、調査に参加する146カ国中、日本は118位です。
ちなみに、日本の一つ上は117位はネパール、一つ下119位はコモロです。
無論先進国の中では、日本は最下位に甘んじており、アジアでも94位の韓国、106位の中国よりも下に位置しています。
社会に出たあと、経済や政治参画に大きな男女差が見られるからと言って、日本の女性の能力が決して低いわけではないことは、データが示しており、OECD PISA(ピーザ)と呼ばれる、経済協力開発機構が実施する国際的な学力調査では、日本の女性の15歳時点における学力(数学的・科学的リテラシー、読解力)は、OECD加盟38か国の中でもトップクラスで、 特に、数学的・科学的リテラシーでは、男女ともOECD加盟国中1位で、日本の女子は諸外国の男子よりも高いスコアを示していました。
しかし、日本はSTEM分野と言われる、科学・技術・工学・数学分野の分野の女性の大学・大学院卒業者は、同加盟国の中で最下位となっています。
すなわち、我が国の女性は、健康で高い教育水準にあり、15歳時点では男女同じく高い学力を有しているにもかかわらず、社会に出ると、男女の活躍に大きな差が出現し、女性の経済参画、政治参画、科学技術分野での活躍が乏しい状況が起こっています。
まさに女性の潜在能力を生かしきれていない状況であることが、見て取れます。
結果、我が国の男女間賃金の格差も、欧米主要国と比較すると、大きく開きがあります。
先日、内閣総理大臣補佐官(賃金・雇用担当)矢田稚子(やたわかこ)さんの講演を聞く機会を頂戴した際、矢田さんは、男女間の賃金格差が、若い女性の地方から中央への流出につながっている可能性を指摘されていらっしゃいました。
若年女性流出には、さまざまな要因が考えられますが、未婚者の男女比の不均衡と各地域における男女間賃金格差の間には、緩やかな相関関係が観察され、男女間賃金格差への対応も含め、女性が地域で活躍しやすい環境をつくることは、地域経済の長期的な持続性を高める上でも重要と、お話されていらっしゃいました。
愛媛県に目を向けると、男女の賃金格差は依然大きく、女性の管理職に占める割合も全国平均に比べて低い傾向があります。
その結果、本市でも22歳〜24歳の女性の県外転出超過が顕著になっています。
若年女性は、近い将来出産を迎える主要な年齢層で、人口戦略会議が消滅可能性自治体に指定する時、将来の若年女性人口を基準にしているほど、地域の将来にとって移住定住が望まれる世代です。
以上の観点から、若年女性の転出超過抑止に結びつけるためにも、女性のポテンシャルを活用し、経済参画を促すと同時に、男女賃金格差を解消に動けば、女性が働きやすい環境づくりにつながり、地域の持続可能性を高めることができると考えられます。
考えられる施策としましては、女性の非正規雇用の正規化推進、出産子育て後に女性の収入が下がる「L字カーブ」の解消、スタートアップや起業の促進、デジタル分野への流入促進、男性の育児休業の推進などが挙げられます。
国が主導する施策もありますが、市として積極的に取り組める施策も多くあります。
基礎自治体として 、女性にとって働きやすく、選ばれるまちづくりを進めることは重要であり、市としても積極的に取り組むべきです。
本市でも女性活躍を見据えた事業として、来年度から女性活躍推進補助金が始まります。
資格取得の補助や、イベントの補助を行う事業で、喜ばしいことですが、予算額は110万円と非常に小粒で、先に挙げたように、社会的影響が大きいにもかかわらず、本気度が感じられず残念に思います。
女性活躍は、人権の観点から推し進めるにとどまらず、地域の将来に渡る持続可能性を考えたうえで人口減少対策や地域経済活性化を一元に捉え、重要な施策として力強く推し進めるべきではないでしょうか。
そこで、お尋ねします。
男女の所得格差是正に向けた本市の意気込みを、お聞かせください。

[理事者答弁] ふるさと納税・経営支援課
少子高齢化や人口減少が進む中、女性が自身の能力をいかし、活躍できる環境をつくり、所得を増やしていくのは重要と認識しています。
そこで、松山市は、新たに出産や育児などで離職や非正規雇用になった女性が資格を取得するのを支援したり、松山しごと創造センターの、女性の創業支援や女性役員の比率を高める取組のほか、松山商工会議所が開催する女性活躍に向けた勉強会に参加するなど、積極的に、女性が活躍できる環境をつくり、所得格差を是正していきます。

質問要旨
1. 城山の土砂災害について
2. 市の強みや資産を生かす稼ぐ地域づくり施策について
3. 民間投資を呼び込む官民連携の再開発について
4. 情報発信の在り方について
5. 文化施設の在り方について
6. 女性活躍について

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