質問要旨
1. 城山の土砂災害について
2. 稼げる都市づくりについて
3. 歩いて暮らせるまちづくりについて
4. デジタル技術活用について
1. 城山の土砂災害について
・ 1-1.
管理瑕疵なしと判断した根拠の公開の在り方について問う。
・ 1-2.
緑町土砂災害被災者生活再建金の給付額算定基準の明確化とその透明性の確保について問う。
・ 1-3.
住民への情報提供、説明責任、対話姿勢の在り方について問う。
1-1.
管理瑕疵なしと判断した根拠の公開の在り方について問う。
[質問全文]
城山土砂災害で犠牲となられた三名の方々に、改めて哀悼の意を表しますとともに、被災住民の皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。
この土砂災害に関しては、今もなお、地域の不安も、松山市の対応に対する疑念の声も、全く消えていないと感じています。
この問題を今議会でも取り上げますのは、市民の尊い命が失われた事実は、時間の経過によって風化させてよいものではないからです。
さらに、本市が「市に責任がない」と結論づけた判断プロセスに疑問の声が多く聞こえる中、曖昧なまま風化させれば、同様の災害が起きた際、今回の判断方法が“前例”として固定される危険もあります。
そして何より深刻なのは、市民の多くが今なお、「城山は本当に安全なのか」確信を持てないことも、大 きな問題です。
「雨が降るたびに不安で眠れない」「怖い」そうした切実な声が、私の元に届いております。
市民が安心して暮らせることは、まちの根幹であり、市民が不安を抱え続ける状況を、見過ごすことはできません。
以上の思いを踏まえ、今回まずお尋ねしたいのは、本市の「管理瑕疵なし」との判断プロセス根拠資料の情報公開についてです。
松山市は、本件事故について「管理瑕疵なし」、すなわち市には一切責任がないと結論づけ、賠償責任も 負っておりません。
この判断プロセスが、市民の納得に足る水準に達していないことを、私はこれまで再三、議会で指摘してまいりました。
本来、市の管理体制が問われる事故においては、市から独立した第三者委員会が瑕疵責任を検証すべきというのが、現代行政の標準です。
しかし松山市は、事故から現在に至るまで、第三者委員会を設置していません。
であるならば最低限、松山市が「管理瑕疵なし」と判断したその根拠とプロセスを、市民がいつでも確認できる形で透明化することは、不可欠であると考えます。
ところが実際には、判断プロセスの核心を占める「これ以上の検証は難しい」と市が受け取った愛媛大学教授とのやり取り、緊急車両用道路の設計、施工に問題はなかったとする民間コンサルタントの資料、市が顧問弁護士に相談したと、過去の議会で答弁された内容、これら、松山市が判断根拠として用いた資料は、現在、市のWEBサイト上では閲覧できない状態にあります。
いくつかの資料は、市の窓口に出向き、わざわざ情報公開請求を行わなければ確認できない状態です。
市の「責任なし」という結論を支える重大な根拠資料である以上、市民がいつでも、容易にアクセスできる形で公開されていることは、説明責任として当然の姿勢であると考えます。
実際、今年10月に被災住民から市に提出された要望書には、「管理瑕疵責任の再検証を必要なしとした愛媛大学教授との全記録、ならびに方針決定のプロセスを、対象者に配布してほしい」と、はっきりと明記されています。
被災住民の皆さんが、「なぜ市は責任がないと判断したのかを、正確に知りたい」と思うことは当然で、この資料を見たいと思う市民の気持ちは、きわめて自然な、市民としての権利だと、私は思います。
市民がいつでもWEBサイト上で確認できる形で情報公開すべきと思えます。
そこでお尋ねします。
土砂災害において、本市が管理瑕疵なしと判断した根拠の公開の在り方について、本市のお考えを、お聞かせください。
[理事者答弁] 公園管理課
これまでも答弁してまいりましたが、 市が判断根拠として用いた資料は、専門的・技術的な図面や計算式、 検討過程の部分が多く、
資料の公開だけでは説明不足が生じ、 誤解を招くおそれがあるため、これまでもホームページ等に掲載はしていません。
そのため、今後も掲載する予定はありませんが、住民の方が市に対して質問や対話をしやすいよう戸別訪問による説明の希望を受け与ける専用のフリーダイヤルを新たに設けましたので、
これまでの窓口での対応に加え、担当が戸別訪問し、関係資料について、丁寧に説明したいと考えています。
以上です。
[田中エリナ]
ただいまのご答弁を伺い、大きな懸念を抱きます。
「資料は専門的で誤解のおそれがあるため公開しない」とのことでしたが、“誤解のおそれがあるから公開しない”
という理由が許容されるのであれば、あらゆる行政判断は非公開にできてしまいます。
誤解が生じないよう、必要な説明を加えて公開するのが、説明責任を負う行政の役割である、と申し上げて、次の質問にうつります。
1-2.
緑町土砂災害被災者生活再建金の給付額算定基準の明確化とその透明性の確保について問う。
[質問全文]
松山市は今回の事故について、「市に責任無し、賠償なし」との立場ですが、一方で、市の管理する城山が原因で市民に不便をかけた“お見舞い”の意味合いから、見舞金や生活再建金を給付しました。
私たち議員も、少しでも被災住民の負担軽減につながれば、と予算を可決しましたがこの生活再建金について、被災住民の皆様から疑問のお声を多数いただいているため、質問させていただきます。
そもそも、今回の生活再建金の予算1億7300万円を公費から支出するのであれば、当初から責任を認め、賠償という正規の手続きで対応した方が、
制度の透明性も担保され、当事者も市民もより納得し得る形となったのではないかと、残念でなりません。
しかしながら、本市は「管理瑕疵なし」「賠償責任なし」との姿勢を再三示しており、この前提を議会で覆すことは現段階では難しいと考えますので、今回は、市が支給している生活再建金の算定基準について、少なくとも、住民含む市民が納得できる透明性の確保が必要と思い、質問します。
事例を挙げると、緑町の店舗経営者は、事故により泥が玄関に流入し、10日間営業ができない状況に追い込まれました。
この10日分の営業補償や家賃相当については、市からの給付はないけれど、ところがその後、別の場所を借りて1か月間営業した際には、その1か月分の家賃が、給付されています。
同じ営業できなかった期間なのに、ほかの場所の家賃はおりて、営業できなかったに日数分は、給付が無いことは違和感があります。
一方で、自宅を流され、長期間にわたり別の住まいを余儀なくされた住民については、その家賃が一切給付されていないケースもあります。
これらの事例を見るに、生活再建金の算定基準は、素人目には納得度が低いように思われます。
このほかにも、住民の方々から、多数、算定基準に納得ができない旨のご相談を頂いております。
問題なのは、本市が「算定基準はある」とする要綱には、給付額の『具体的な基準』が明記されていないので、
運用が担当者の裁量に左右されるおそれが大きく、公平性・透明性の観点から、課題が見られます。
明確な算定基準を整備し、市民が確認できる形で公表することが不可欠であると考えます。
加えて、今議会の答弁において明らかになった、議会で可決された生活再建金予算に対する執行額の低さ、議会で可決された予算に対して、執行率20.5パーセントという現状も、当初予算との乖離が大きく、疑問を残します。
今後、同様の災害が発生した際に、再び同じ混乱や不信を生まないためにも、この点は今、明確にしておく必要があると考えますので、お尋ねします。
緑町土砂災害被災者生活再建金の給付額算定基準の明確化と、その透明性の確保について、市のお考えを、お聞かせください。
[理事者答弁] 公園管理課
生活再建金の対象経費は、土砂災害により被害を受けた建物の修繕や家財の購入又は修理に要する経費等で、
保険給付など、他の制度で支給されるものは、対象外とすることなどを要綱で定め、その内容は、本庁や各支所などに掲示しました。
給付を希望される方は、被害を受けた家財などのリストや写真、その経費が分かる書類等を整理し、被害状況を提出いただきました。
本市の担当職員は、その被害状況について現地を確認し、丁寧に聞きとったうえで、専門家の意見も踏まえ、給付する内容を申出者に説明しています。
また、生活の本拠となる住宅が被害を受け、居住できなくなった方に対しては、民間賃貸住宅の借り上げ支援制度をご案内し、希望された方に、必要な期間入居いただきました。
なお、申請の有無や被害を受けた内容、給付の結果など、個別具体的な内容については、お答えできません。
以上です。
[田中エリナ]
現状、要綱には給付額を判断する具体的な算定基準が明記されていない点については、今後のためにも 、分かりやすい形での明確化をご検討いただきたいと思います。
1-3. 住民への情報提供、説明責任、対話姿勢の在り方について問う。
[質問全文]
今回の災害における住民対応について、私は発災直後から強い疑問を抱いています。
市の営造物が原因で3名もの尊い命が奪われ、住民が安全への不安を抱え続ける中、説明会が開かれたのは、実に7か月以上も後でした。
重大な災害の後、これほど長い間、住民に十分な説明の場が設けられなかった。
この事実は、到底、許さる対応ではありません。
また、市への要望書に対する回答が著しく遅いことも、問題です。
住民の方々は、これまで計8回にわたり、質問状や要望書を市に提出しておられます。
直近の具体的な経過を申し上げます。
本年9月議会において、「住民に対して個別丁寧に対応すべきである」との趣旨の請願が一部採択されたことを受け、
被災マンションの管理組合は、市が請願を受けて、誠実に対応してくれることを期待し、10月14日に正式な要望書を市に提出されました。
しかし、その後、市からは一切の連絡がなかったそうです。
管理組合は、 10月31日に「速やかにご回答いただきたい」と連絡を入れましたが、それに対しても市からの返答はない。
電話連絡もないまま時間だけが経過し、やむを得ず、管理組合は11月27日に再申し入れを行っています。
この間、市から何らの応答もないまま、実に1か月以上が経過しています。
そして、マンション住民の方がフリーダイヤルに電話をされたことをきっかけに、12月5日、市の職員がようやくマンションに説明に訪れたと伺っています。
しかし、その場でも、要望書や質問に対する回答は曖昧なもので、住民が強く求めていた資料についても、「資料が多い」「個人情報の処理に時間がかかる」などを理由に、配布されなかったと聞き及んでおります。
これで『丁寧に対応している』とおっしゃられると、私には理解が追いつきません。
住民軽視、市民軽視に加え、請願を通じて意思を示した市議会軽視に他ならない、と疑義を申し上げたいと思います。
また、市はこれまで、「住民には様々な考えがあり、納得している方も、していない方もいる」と答弁さ れていますが、
今年4月に実施された住民アンケート、47件の回答のうち、「説明に満足している」は、わずか2件、43件が「説明は不十分」「対応に納得できない」と回答しています。
これほど明確に住民の不信が数字として表れている現状でも、やはり住民に寄り添い、丁寧に対応できているとおっしゃるのしょうか?
被害が限定的であった今回の災害でさえ、このような状況であれば、南海トラフ地震のような大規模災害が起きたとき、松山市はどう対応できるのか、強い不安を抱くのは、私だけではないはずです。
今回の発災をきっかけに、「住民に寄り添う市政の在り方」を見つめなおすことこそが、冷たい泥の中で犠牲となられた方々の無念に応える、行政の責務ではないでしょうか。
「自分たちは正しい」と言い続けることよりも、住民の方々のお声に耳を傾け、対応を今からでも改善する姿勢こそが、信頼を取り戻す唯一の道であるとように感じます。
住民の方が何度も要望されている説明会を開催しない理由も、見当たりません。
そこで、お尋ねします。
今回の災害後の松山市の住民への情報提供、説明責任、対話姿勢の在り方について、市のお考えを、お聞かせください。
[田中エリナ]
再質問はしませんが、一つ目の質問の答弁で、誤解を招くような資料しか手元にないとおっしゃられましたが、そのような事前準備で住民の皆様に正しくご理解いただくための丁寧な説明が、可能でしょうか?
資料は見せられない、けれど、正しく理解してほしい。
という本日のご答弁、無理を感じます。
松山市の態度に変化が現れ、住民の皆さまの疑問や不信・不安が払拭され、私が、もうこの質問を次の議会で取り上げずに済むことを願いながら、次の質問に移ります。
[理事者答弁] 公園管理課
本市としては、被害に遭われた方々が元の生活に戻れる環境を整えることを最優先に考え、生活面での支援に加え、健康相談なども行ってきました。
また、全体説明会の開催や生活再建金を給付するための世帯訪問、土砂災害に関する窓口対応など、状況に応じて個別に丁寧に対応してきました。
なお、10月14日の要望書に対しては10月24日に具体的な対応は決定次第お知らせしますと文書で回答し、
10月30日には、専用のフリーダイヤルを設置し、その内容を約700世帯に文書で配布しました。
さらに、要望書を提出された集合住宅の管理組合の理事長には11月14日に伜筊は理事会で行うことを由咍で連絡し、
了承を得たため12月5日に出席し、要望に対する具体的な対応や復旧工事の状況などについて説明しました。
住民の方によってご意見も様々であると認識していますが、正しく理解していただけるよう今後も引き続き丁寧に説明してまいります。
以上です。
2. 稼げる都市づくりについて
・ 2-1.
ふるさと納税のさらなる成長に向け、専用基金を設置することについて
本市の見解を問う。
・ 2-2.
インバウンド需要の拡大に向けた、市内事業者のプロモーション支援と受入れ環境の強化について問う。
2-1. ふるさと納税のさらなる成長に向け、専用基金を設置することについて
本市の見解を問う。
[質問全文]
本市のふるさと納税は、体制強化など積極的な取組により、令和3年度6.6億円、4年度9.7億、5年度18.6億、6年度約24.6億と、わずか3年で約3.7倍に成長しました。
昨年度も、全国平均伸び率を上回る成長ですが、伸び率自体は、鈍化している傾向がうかがえます。
また昨年度四国寄附額ランキングは、1位、人口約2万人の高知県須崎市で約37億円、2位は愛媛県八幡浜市、30億を超えており、約24.6億の松山も、まだまだ伸ばしていきたいところです。
今後のふるさと納税成長の鍵は、松山市を選んで寄附してくださる方の思いを、丁寧に反映し、払った税金が何に使われたか、見えるようにする仕組みの強化です。
全国の自治体には、ふるさと納税の寄附金を、まず「専用基金」に積み立て、寄附者が選んだ用途に応じて、
明確に活用している自治体と、基金を設けず一般会計に繰り入れる自治体があります。
松山市は、一般会計繰り入れを採用しており、寄附者アンケートで“どの分野に使ってほしいか”を、お伺いしているものの、専用基金は存在しないため、寄附者が『自分の寄附が、どの事業に活かされたか』 は、確認できない構造です。
寄附者の思いを聞くだけではなく、その思いがどのように反映され、どの事業に結びついたのかを可視化することは、市政への信頼を高め、さらなる寄附額増加につながる重要な要素です。
こうした背景から、ふるさと納税専用基金を設置する自治体は全国的に増加、全国62の中核市のうち、実に約40市が専用基金を設けています。
一方で、基金を設けることには、資金が滞留する可能性や、管理の手間が増える課題があります。
しかし、こうしたデメリットを踏まえても、寄附者の意思と使いみちを、より明確に結びつける仕組みを整えることは、重要な施策と思われます。
なぜなら、ふるさと納税も変化しており、単なる返礼品競争の時代は終わり、自治体の理念や政策そのものへの共感に、寄附が集まる傾向が強まっているからです。
芦屋市の高島市長も、「ふるさと納税、政策で選びませんか?」という記事を発表し、
“ふるさと納税は本来、カタログショッピングではなく、地域の未来への投資である” と指摘され、「どんな未来をつくりたいのか」「どんな事業を応援したいのか」
を明確に示すことこそ、寄附者からの共感と支持を得るうえで不可欠であると述べられています。
“税金の使いみちは、とにかくわかりやすく”。
この大原則が、まちづくりの信頼をつくる基盤であり、寄附を伸ばす重要な要素となり得ます。
だからこそ今、寄付者がプロジェクトそのものを応援できるクラウドファンディング型、いわゆるふるさと納税3.0も全国的に注目されています。
松山市でも、この潮流を踏まえた仕組みづくりを進めるべきではないかと考え、伺います。
ふるさと納税専用基金の設置について、本市の見解を、お聞かせください。
[理事者答弁] ふるさと納税・ 経営支援課
本市では、寄附者に応援したことを実感していただくため、寄附金の使い道を子育て環境の充実など10項目から選べることとしており、ふるさと納税特設サイトで、寄附額と活用する事業を公表しています。
今後、新たに専用基金を設置することについては、財政運営への影響や基金の活用方法など、他市の事例を参考にしながら、調査・研究したいと考えています。
以上です。
2-2. インバウンド需要の拡大に向けた、市内事業者のプロモーション支援と受入れ環境の強化について問う。
[質問全文]
観光産業は、松山の経済を支える大きな柱であり、国内旅行減少を考えると、インバウンド誘客拡大は、不可欠です。
道後温泉でも、2050ビジョンにおいて、インバウンド比率50%が掲げられるなど、民間事業者も明確にインバウンド強化へ舵を切っています。
インバウンド誘客を増やすには、事業者自らがSNSで魅力を発信し、プロモーションに力を入れることが欠かせません。
実際、外国人観光客が、 連日行列をつくる街中の人気店に聞き取りを行ったところ、「ブログや口コミサイトを見ての来客がほとんど」という声が多く、
団体旅行から個人旅行へ、そして情報収集の中心がSNSなどデジタル媒体へと移っていることは、明白です。
こうした状況を踏まえ、全国ではすでに、茨城県がコンテンツ造成やSNSプロモーション支援に専門家が伴走する事業を実施、石川県でも来期、プロモーションや販売体制整備まで支援する事業に予算を確保するなど、事業者支援の強化が進んでいます。
一方で観光客が増えても、受入環境が整っていなければ、現場は対応しきれません。
私自身、市内事業者から「多言語メニューの表記をどうすればいいか」「案内表示はどうしたらよいか」といった相談を、飲食店や小売物販のお店様から日々、ご相談頂きます。
特に年配のご夫婦で営む飲食店などでは、外国語対応に不安を抱え、戸惑っておられる様子も多く、個別にサポートしても追いつかないのが現状です。
受入環境の整備に取り組む全国の先進例として、ブランディングやマーケティングによって世界から観光客が集まる北海道余市町では、多言語案内看板や多言語デジタルサイネージの整備、多言語案内・翻訳タブレット端末の導入、多言語音声案内ツール、さらには翻訳システム機器の整備に至るまで、事業者への幅広い助成を行っています。
こうした支援により、訪れた外国人も安心して観光を楽しめる環境づくりが、進んでいます。
このように、インバウンド誘客には「発信力の強化」と「受入環境の整備」という両輪が不可欠です。
そこでお尋ねします。
インバウンド需要の拡大に向け、市内事業者のプロモーション支援と受入環境の強化について、支援するお考えはないか。
本市の見解を伺います。
[理事者答弁] 観光・国際交流課
本市では、今年度、商店街関係者を対象に、先進地のプロモーション方法など、インバウンド需要に対応するための勉強会を開催しました。
また、愛媛県でも、飲食店を対象とした、インバウンド向けの店舗情報を効果的に発信していくための集客セミナーを開催しているほか、国内外からの誘客促進に向けた受入環境整備のための補助制度を設けており、本市では、申請の際に市内事業者へのアドバイスなど、サポートを行っています。
今後も、インバウンド需要を更に拡大していくため、事業者自らのプロモーションや、多言語対応など、受入環境の充賫に向けた支援の在り方について、先進地の事例を調査・研究していきたいと考えています。
以上です。
3. 歩いて暮らせるまちづくりについて
・ 3-1.
本市が標榜する歩いて暮らせるまちづくりビジョンについて、歩いて心地よい滞在空間づくりや、中心市街地のにぎわい創出につながる充実をどのように図る考えか問う。
・ 3-2.
自転車環境の整備について、今後の取組を問う。
3-1. 本市が標榜する歩いて暮らせるまちづくりビジョンについて、歩いて心地よい滞在空間づくりや、中心市街地のにぎわい創出につながる充実をどのように図る考えか問う。
[質問全文]
本市は「歩いて暮らせるまちづくり」を目指し推進していますが、このビジョンを、今後さらに充実させ、より力を入れていくべきと考え、質問させていただきます。
世界の先進都市では、“歩いて心地よいまちづくり”へと大きく舵が切られています。
バルセロナのスーパーブロックをはじめ、コペンハーゲン、ニューヨーク、メルボルンなど、歩行者視点の都市デザインが
“都市の魅力・健康・環境・回遊性”を高め、結果、車との共存にもつながる仕組みとして評価され、いまや国際的な潮流となっています。
しかしこの取組は、歩行空間を整えるだけでは不十分であり、重要なのは、通りを単なる通過の場にしないことです。
「居心地の良さ」「そこで過ごしたくなる」「歩くこと自体が発見や体験になる」ように、歩行空間を、ただ歩けるように整備するにとどまらず、
「人が居たくなる」「滞在が生まれる」「街を回遊したくなる」空間をつくることで、経済・観光・福祉・市民生活の質まで向上させていく。
これこそが、歩いて楽しいまちづくりの本質です。
松山は、平坦な地形、温暖な気候、コンパクトシティという強みを持ち、全国でも屈指の“歩行者が心地よく過ごせるポテンシャル”を備えています。
加えて、文学やお遍路の歴史が息づき、温泉や瀬戸内海の自然がもたらす癒やしなど、心身の健康につながる多様な魅力に恵まれています。
こうした文化と自然の豊かさが重なる松山だからこそ、「歩いて暮らせるまちづくり」を進めることで、市民にとっても来訪者にとっても、
ウェルビーイングな“世界基準で魅力あるまち”へと大きく成長できる可能性があると考えます。
これまで本市は、ロープウェイ街、花園町通り、市駅前広場など、中心部での歩行空間整備は前進してきました。
しかし、現状はまだ“歩ける”段階にとどまっており、ここから“歩きたくなる”“滞在したくなる”空間へと、昇華させていく余地は、十分に残されています。
たとえば、ベンチやテラス席などの「たまり場」づくり、緑化や街路樹による、歩くだけで心地よい景観の形成、カフェ、マーケット、イベントなど、
滞在を促す賑わいの創出、地下街・商店街・広場が一体となった回遊性の強化、 こうした“歩きたくなる理由”を街なかに積み重ねていくことが重要です。
単に「歩ける」だけでは、人は街に出てきません。
歩きたくなる、そして滞在したくなる。
この二つがそろって初めて、中心市街地のにぎわい創出、商店街の活性化、観光滞在時間の増加にも、つながります。
そこでお尋ねします。
本市が標榜する「歩いて暮らせるまちづくり」ビジョンについて、歩いて心地よい滞在空間づくりや、
中心市街地のにぎわい創出につながる充実を、今後どのように図る考えか、市の見解をお聞かせください。
[理事者答弁] 都市・交通計画課
本市が目指す「歩いて暮らせるまちづくり」の実現には、徒歩や公共交通で、安全で快適に移動でき、まちに滞在したくなる空間を創出していくことが重要であると考えています。
そのため、ロープウェイ通りや花園町通りなどで進めてきた道路空間の再配分の取組みをほかの路線にも拡大し、
歩行者ネットワークとしての回遊性を高めるとともに、松山駅や市駅前広場の整備にあわせ、交通拠点の機能強化や公共交通の利便性向上を進めているところです。
さらに、良好な景観整備により、誰もが訪れたくなり、滞在したくなるような賑わい空間の創出にも取り組んでいます。
この空間の活用にあたっては、エリアマネジメントの推進により、地元団体や商店街との協働によるイベントの開催などにも取り組むことで、
中心市街地の賑わい創出につながる「歩いて暮らせるまちづくり」の実現を図ってまいります。
以上です。
3-2. 自転車環境の整備について、今後の取組を問う。
[質問全文]
続いて自転車施策についての質問です。
先の質問で申し上げたとおり、本市において「歩いて暮らせるまちづくり」は本市にとって重要ですが、その実現には、車中心と歩行者中心のゾーニング、また公共交通と歩行者の動線をつなぎ、魅力ある“空間づくり”を進めることが不可欠です。
そしてその中で、自転車は歩行と公共交通を補完し、市民の移動を支える欠かせないツールです。
そもそも本市は、自転車に乗る人の割合、自転車分担率が全国的に見ても高く、コンパクトシティという特性を考えても、自転車は松山市と最も相性の良い移動手段のひとつです。
学生、子育て世代、高齢者まで幅広く日常的に使われており、“生活に寄り添うモビリティ”として機能しています。
また、これからの社会の流れを見ても、自転車の重要性はますます高まっています。
高齢化社会における移動手段の確保、健康寿命の延伸、環境負荷の低減や脱炭素といった政策課題とも高い親和性を持っています。
現状の自転車環境には、車道と歩道の境界が曖昧で、危険な区間、目的地周辺の駐輪場不足や老朽化 、などの課題が残っています。
さらに、松山市が支援しているシェアサイクルも広がりつつありますが、重要な交通結節点である市駅にポートが設置されていないなど、利用者がさらに使いやすい環境整備に努めるべき課題が見えています。
都市全体の回遊性を高めるうえでも、自転車は“まちのインフラ”として捉え、利便性向上に取り組むことが不可欠です。
こうした点を踏まえると、自転車は歩行と競合するものではなく、「歩く・自転車・公共交通」を組み合わせた総合的なモビリティデザインの中核となる存在です。
そして、本市にとって大きな追い風となるのが、2027年に愛媛で開催される Velo-city、世界最大級の自転車国際会議です。
松山市が“自転車先進都市”として国内外に存在感を示す、またとないチャンスです。
本市は令和3年に「自転車活用推進計画」を策定し、駐輪場整備や、本計画の中にあるネットワーク計画により、レーン整備が進められている点は評価しております。
特に、中之川通りの駐輪場整備など、市が前向きに動いている取り組みについては高く評価しています。
しかしその一方で、 中心市街地における自転車環境については、依然として多くの市民からご意見や改善要望をいただいているのも、実情です。
今まさに進めている自転車ネットワーク計画の見直しにおいては、単なる延長線上の改善ではなく、べロシティ開催を契機に、 「松山市の魅力を高める都市戦略」としての自転車政策へ大きくステップアップさせることが求められます。
そこでお尋ねします。
本市の自転車環境の整備について、今後の取組について、お聞かせください。
[理事者答弁] 都市・交通計画課
本市が比較的、平坦な地形であることや年間降水量が少ないという地理的条件を活かし、自転車を活用した都市戦略を推進することは、
持続可能なまちづくりの実現、市民の健康増進、そして脱炭素社会への貢献など、多面的な意義があると認識しています。
その中で、自転車環境の怪備では、中之川通りや本町宝塔寺線など道路拡幅時の自転車通行帯の整備や駅前広場整備に併せた駐輪場の設置を計画的に進めています。
また、現在見直し中の自転車ネットワーク計画では、自転車利用の多い高校生の安全性向上のため、郊外の通学ルートを計画に反映させる予定です。
さらに、シェアサイクルは、公共交通を補完する都市の交通システムとして重要であることから、導入に対する財政的支援などを行っており、
引き続き、市駅をはじめ需要が見込まれる箇所のポート設置などに、協力していきたいと考えています。
これらの取り組みを通して、コンパクトシティを形成するための自転車環境を整備し、快適で魅力ある、まちづくりを進めて行きます。
以上です。
4. デジタル技術拭用について
・ 4-1.
自治体向けに最適化された生成AIを庁内業務に導入することについて、本市の見解を問う。
・ 4-2.
人流解析システムを導入し、防災、観光など広くデータを活用していくことについて、本市の考えを問う。
4-1. 自治体向けに最適化された生成AIを庁内業務に導入することについて、本市の見解を問う。
[質問全文]
いま、世界ではAIの進化が社会の仕組みそのものを塗り替える勢いで加速しています。
行政、産業、教育、医療、あらゆる分野の常識が、数年単位ではなく、“数ヶ月単位”で書き換わる時代、もはやAIは単なるデジタルツールではなく、社会基盤そのものを組み替える力を持つ存在です。
AIと向き合い味方にしていくことは、市民サービス向上や業務効率化だけでなく、市民の情報をどう守るかというセキュリティの観点からも、早急な対応が必要です。
本市の行政力、そして市民の安心を左右する極めて重要な分野であると考えます。
本市は令和5年にChatGPTの試験導入を行いました。
アイデア出しや文書作成では一定の効果が確認されましたが、回答の不正確さで使いづらいという声があり、「情報の扱いへの懸念」の課題も明らかになり、外部AIをそのまま行政実務に利用する難しさが浮き彫りになりました。
ここで申し上げたいのは、私たちが通常使う、松山市の導入試でも使われたchat GPTは、一般的な生成AIで、全国の自治体で実際に成果を上げているのは、
自治体専用に最適化された“独自LLM”と呼ばれる生成AIで、全くの別物なのです。
一般的な生成AI、ChatGPTなどは、外部企業のサーバーにつながって動いています。
つまり、入力した情報がすべて外部に送られる仕組みで、行政が扱う機密情報や市民データを安全に入力することには限界があります。
また、松山市の制度や条例、過去の議会質問や答弁を前提に学習しているわけではなく、職員からの質問に誤った回答が出るリスクも、大きく残されます。
一方で、近年自治体で導入が進む独自LLM(自治体専用AI)は、 庁内データを最初にすべてAIに勉強させるのです。
そして、外部に情報を一切送らない“閉ざされた環境”で運用するため、行政実務に即した正確性と、セキュリティの両立が可能になります。
その象徴的な例が、宮崎県日向市の「Hyuga_AI」です。
日向市は、独自AIの導入により、大きな成果を上げています。
今年度、東京・幕張で開催された外務省外郭団体主催のイベントに登壇された際、日向市市長がその成果を紹介されました。
AIがどれだけ使われているかは、トークンという“文字量”で表されますが、なんと日向市では、その量が月間2.4億トークンに達し、これは、職員が日常的にAIを業務に取り入れ、行政全体で当たり前のように使われていることを示す数字です。
月によって変化はあるものの、独自生成AIの利用により、8月単月で約2,200時間、業務量を削減することに成功したそうです。
日向市の職員数約600名で単純計算すると、年間約7,200万円のコスト削減に相当しているそうです。
具体的には、議員の質問への答弁作成の96%を、AIが叩き台を作ってくれているそうです。
条例を確認する手間も大幅に減り、「根拠を即時に提示してくれるので早い」という声が職員の皆様からあがっているそうです。
他の自治体でも、市民問い合わせ対応の時間が1件あたり30分〜1時間削減できた、などの事例も確認されています。
これらは単なる効率化にとどまらず、行政の質を安定させ、市民サービスを迅速かつ正確に提供するための基盤づくりにつながります。
松山市は人口規模も業務量も大きく、こうした効果をより高いレベルで享受できる可能性があります。
そこでお尋ねします。
セキュリティと業務効率化の両立のため、自治体向けに最適化された生成AIを庁内業務に導入することについて、本市の見解を、お聞かせください。
[理事者答弁] デジタル戦略課
松山市は、令和5年から生成AIを採り入れ、現在、約1,300人もの職員が業務で使い、さらに、松山市の情報に特化した生成AIモデルの導入を検証しています。
また、私の指示で今年5月に部局横断のDX推進プロジェクトチームを立ち上げ、国の交付金を活かしながら、
AIを一層導入するなどさまざまなDX施策を検討し、これからも市民サービスを高め業務を効率化していきます。
以上です。
4-2. 人流解析システムを導入し、防災、観光など広くデータを活用していくことについて、本市の考えを問う。
[質問全文]
先の質問でも申し上げたとおり、いまAIをはじめとするテクノロジーが急速に発展し、これまでとは全く違うコスト削減や、より高度なサービス提供が可能になる“行政の新しい選択肢”が広がっています。
その中で、幅広い分野の政策立案に横断的に活用できる技術として、導入が進んでいるのが、人流解析システムです。
人の動きを観測・分析できるシステムのことです。
最新の人流解析では、スマートフォンの匿名位置情報を統計処理することで、まちに「どれだけの人が」「いつ」「どこから来て」「どう回遊したか」。
観光地や商店街の“周遊のつながり”や“断絶ポイント。
年代・性別などの属性別の行動傾向。
混雑・滞留の発生ポイント。
インバウンドの流入傾向 などを、これまでにない精度で把握できます。
さらに、自転車・バス・自動車・鉄道などの“移動”も、人が動いている限り、それぞれに捉えられるため、都市全体の人の動きを面的に理解することが可能です。
防災分野でも、能登半島地震における実際の人の動きを精緻に分析し、避難計画に活かす自治体が現れており、災害時の「人の動き」そのものを根拠に都市計画に活かせる時代となりました。
一方で本市では、これまで歩行者通行量を把握するため、いわゆる通行量調査員が手動カウンターで計測を行い、委託費や人件費を投入してきました。
しかし最新の人流解析を導入すれば、この手動カウントの多くを置き換え、経費削減とデータ精度の向上を同時に達成できます。
また、最近のシステムは分析機能を内蔵しており、専門のデジタル人材でなくても、人の流れの変化、周遊のつながり、滞留の発生場所、属性別の傾向などを容易に把握でき、現場職員でも日常業務に活かせる“実用的なツール”になっています。
こうしたデータは、これからの本市の街づくり・防災・観光・交通政策を市える、まさに「政策企画に不可欠なビッグデータ」 となるものです。
施策の立案から効果検証まで一貫して活用できることから、本市としても早期に取り入れる価値が極めて大きいと考えます。
そこで伺います。
人流解析システムを導入し、防災、観光など広くデータを活用していくことについて、本市の考えを問う。
[理事者答弁] デジタル戦略課
人流解析は、観光や防災など幅広い分野で活用できると考えています。
これまで本市では、人流データを活用して花火大会の混雑の緩和をはじめ、本市を訪れたインバウンド観光客の行動特性やコロナ禍の人々の移動状況を把握したほか、
現在は旅行会社と連携して観光振興に取り組むようにしています。
今後は、これらの取り組みや他都市の導入事例を検証しながら、人流解析システムの導入を検討したいと考えています。
以上です。
質問要旨
1. 城山の土砂災害について
2. 稼げる都市づくりについて
3. 歩いて暮らせるまちづくりについて
4. デジタル技術活用について

